歯の詰め物が取れる原因と放置することのリスクについて

虫歯治療では、詰め物を入れて歯を修復したり、審美性を高めたりすることがあります。
しかし、こちらは完全に固定されているわけではありません。
日常生活の中で、急にポロッと取れてしまうことも考えられます。
今回は、歯の詰め物が取れる原因と、その状態を放置することのリスクについて解説しましょう。

歯の詰め物が取れる4つの原因

虫歯治療を受け、歯に詰め物が入っている状態の方は、以下のような原因で取れてしまうことを覚えてきましょう。

・虫歯
詰め物をしているからといって、その部分が虫歯にならないとは限りません。
治療後の歯磨きをおろそかにしていると、詰め物と歯の隙間に虫歯菌が侵入し、新たな虫歯を形成してしまうおそれがあります。
そして、その虫歯が詰め物の真下にできた場合、外れやすくなってしまいます。

・嚙み合わせ
元々嚙み合わせが良い方でも、それをずっと維持できるとは限りません。
長い時間が経過すると、少しずつずれてくることも考えられます。
嚙み合わせが悪くなると、装着時はピッタリだった詰め物も徐々にずれ始め、ある日突然取れてしまうことがあります。

・歯ぎしり、食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、歯に余計な負担を与えかねません。
こちらが長年継続することで、詰め物が取れたり、一部が欠けたりすることがあります。

・詰め物の劣化
詰め物の固定には、医療用の接着剤が使用されます。
しかし、これは経年劣化するものであり、長期間装着されることで、自然と取れるリスクは高まります。

粘着性の高い食べ物が原因になることも

歯の詰め物が取れる原因としては、粘着性の高い食べ物を食べることも挙げられます。

例えばガムやキャラメル、お餅などの粘着性の高い食べ物は、詰め物にひっかかることがあります。
銀歯など保険診療の詰め物については、そこまで強力な接着剤を使用しているわけではありません。
そのため、これらを噛んだ拍子に外れてしまう可能性があります。

また自由診療の詰め物であっても、仮詰めの期間は要注意です。
仮詰めは、正式な詰め物が完成するまでの間、仮の補綴物として装着されるものです。
こちらはすぐ外すことを前提につくられているため、接着力が弱く、ガムやキャラメルなどを食べると外れるリスクが高いです。

治療技術や歯質の問題で外れることもある

歯科クリニックにとって、詰め物治療はかなり基本的な治療です。
しかし歯科医師も人間であるため、当然その技術には個人差があります。

もし詰め物治療が苦手な歯科医師であった場合、治療の精度が低く、詰め物と歯の間に隙間ができやすくなります。
その結果、虫歯の再発や脱離のリスクが高くなります。

また患者さん自身の歯質が弱い場合も、歯がひび割れてしまい、詰め物が外れやすくなります。
歯質は遺伝的な要素も関係しているため、なかなか根本から解決するのが難しいですが、詰め物の素材を頑丈なものにすることなどで対処可能です。

なぜ取れた詰め物を放置してはいけないのか?

詰め物が取れた状態で放置すると、虫歯のリスクが急激に高くなるため、おすすめできません。

詰め物部分が取れたということは、歯の内部にある“象牙質”が剝き出しになっているということであり、こちらはとても柔らかく、虫歯菌への耐性があまりありません。
もちろん、歯に穴が空いている状態のため、単純に食べカスも溜まりやすくなります。

そして、詰め物が取れた状態で放置すると、噛み合わせや歯並びも悪くなります。
こちらは、本来詰め物があるはずの隙間を埋めるため、周囲の歯が少しずつ動いてしまうからです。

知覚過敏のリスクも高まる

先ほど、詰め物が取れると歯の内部にある象牙質が剥き出しになるという話をしました。
こちらの象牙質はとても敏感な部分であり、冷たいものや熱いものが触れることでしみる知覚過敏の症状が出ます。

また知覚過敏は、ブラッシングの際に歯ブラシが当たることでもしみるような痛みを生じます。
つまり、知覚過敏がある方はブラッシングを満足にできなくなるということです。

治療の複雑化や費用の増大にもつながる

詰め物が取れた状態を放置すると、治療の複雑化や費用の増大にもつながります。

取れた詰め物をすぐ歯科クリニックに持参すれば、その詰め物をそのまま再利用できる可能性があります。
一方、放置している期間が長くなると歯の状態が悪化し、元の詰め物が使えなくなる可能性が高いです。
そのため、より大がかりな治療を受けなければいけないことになります。

また単に外れた詰め物を戻すだけでなく、一から治療に取りかかる場合、当然費用も高額になりやすいです。
もちろん、詰め物が自由診療のものであれば、莫大な費用がかかるおそれもあります。

ちなみにセラミックなどは、再治療にかかる費用が保障されているケースもあります。
しかし詰め物が取れたまま放置し、メンテナンスにも通わなかった場合、保障の対象外になる可能性が高いです。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・詰め物の下に虫歯ができると、取れる原因になる

・歯ぎしりや食いしばりにより、詰め物が取れたり、一部が欠損したりすることがある

・経年により、噛み合わせや詰め物の耐久性に変化が出ると取れやすくなる

・詰め物が取れた状態を放置すると、虫歯や噛み合わせ、歯並び悪化のリスクが高まる

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!