小児矯正は、第一期矯正、第二期矯正の両方を受ける場合、完了までに数年かかることもあります。
そのため、子ども自身にはある程度の負担がかかりますが、だからといって途中で断念するのはおすすめできません。
今回は、小児矯正を途中でやめることのデメリットについて解説します。
後戻りが起こる
歯は必要な力をかけることで動くため、途中で小児矯正をやめてしまうと、せっかく動かした歯が元の位置に少しずつ戻る後戻りが生じ、場合によっては治療前より歯並びが悪くなることもあります。
そもそも小児矯正では、きちんと既定の期間通り矯正器具を装着し、なおかつ保定装置(リテーナー)を数年間装着しなければ、まだ骨の中で固まっていない歯が後戻りするため、途中でやめた場合に動くのは当然です。
また、後戻りが生じると、当然これまでに支払った治療費は無駄になりますし、患者さんの都合による中止の場合、返金が行われない可能性も高いです。
骨格的な異常を改善できない
小児矯正には、顎の骨の発育をコントロールできるという、大人の矯正にはない効果が期待できます。
しかし、途中で矯正をやめてしまうと、当然ながら骨格的な異常を自然な形で改善する機会を失います。
また、大人になってから治療を再開しようとしても、治せるのは歯並びの乱れだけです。
骨格的な問題を大人になってから改善しようとする場合は、顎の骨を削るなどの大がかりな外科手術が必要になるため、子どものときに我慢して小児矯正を続けることはとても重要だと言えます。
口内環境が悪化する
小児矯正は、矯正器具を装着し、規定の時間過ごすだけではありません。
矯正中は、器具が原因で汚れが溜まりやすくなるため、定期的に歯科クリニックに通い、クリーニングを受ける必要があります。
特に、ワイヤー矯正などの固定式の矯正器具の場合、こちらのクリーニングがとても重要になりますが、途中で矯正を断念してしまうと、クリーニングを受ける機会を失うことになります。
また、クリーニングを受けないということは、口内環境が悪化するということであり、こちらは虫歯や歯周病などのトラブルを引き起こす原因にもなります。
再開時に不利益が起こる
小児矯正を途中でやめてしまうと、再開するときに不利益が起こります。
小児矯正は、子どもの協力が得られなかったり、経済的な余裕がなくなったりと、さまざまな理由で中断することがあります。
もし不本意な中断だったのであれば、その後再開したいと考えることもあるでしょう。
しかし、後から小児矯正を再開する場合、中断によって歯並びが変化しているため、新たな治療計画が必要になります。
そのため、治療期間や費用が余計にかかることがあります。
精神的ストレスにつながる
小児矯正を途中でやめてしまった場合、子どもの精神的なストレスにつながることもあります。
例えば転居や経済的な困窮など、子どもが意図しない理由で小児矯正を中断してしまったとします。
この場合、子どもは最後まで歯を移動させたいにもかかわらず、中途半端な状態で一度治療を終了させなければいけません。
また小児矯正が中途半端な状態で終わると、見た目や噛み合わせが不自然になります。
そのため、不快感や精神的なストレスにつながることが考えられます。
特に日常生活において大きな支障が出ている場合、子どもが抱えるストレスはかなり大きくなります。
小児矯正を途中でやめる理由と対策
子どもが痛みや装置への不満を抱えている場合は、歯科医師に相談し、装置の調整や痛みを軽減する方法を提案してもらいましょう。
例えばマウスピース矯正は、比較的痛みが少ない矯正方法として知られています。
また引っ越しや生活の変化で通院が難しい場合、まずは歯科医師にその旨を伝え、転院のための紹介状の作成を依頼すべきです。
さらに、子ども自身が治療を嫌がっている場合、無理強いせず子どもが抱える不安や不満の理由を詳しく聞きましょう。
ちなみにやむを得ず一時的に小児矯正を中断する場合でも、現在の歯並びを安定させるための一時的な処置、保定処置を施してもらうことが望ましいです。
治療前にできる小児矯正の中断対策
治療を開始する前にできる中断対策としては、やはり信頼できる歯科クリニックを選ぶことが挙げられます。
具体的には、治療開始前に不安な点をすべて解消できるまで歯科医師と相談し、信頼できる専門医を見つけることが大切です。
また治療計画をしっかり理解することも、事前にできる小児矯正の中断対策です。
小児矯正は第一期と第二期があり、第一期だけでは永久歯が生え揃わず、後戻りする可能性があることを理解しておきましょう。
もちろん、子どもに対し小児矯正は最後までやめられないことを伝えておくのも重要です。
「友達がしているから」など軽い気持ちで小児矯正を始めようとする子どももいますが、それだけで簡単に治療に踏み切るのは良くありません。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・途中で小児矯正をやめると、歯が少しずつ元の位置に戻る後戻りが起こる
・場合によっては、矯正前より歯並びが悪くなる可能性もある
・小児矯正を途中でやめると、骨格的な異常を自然に改善できなくなる
・小児矯正に伴うクリーニングの機会がなくなると、虫歯や歯周病のリスクが上がる
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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