虫歯などを治療した部分の詰め物、被せ物にセラミック素材を使用するのがセラミック治療であり、審美性や機能性に優れていることから、近年は特に人気が高まっています。
しかし、残念ながらこちらの治療は、原則保険適用外の自由診療となります。
今回は、なぜセラミック治療で保険が適用されないのかを中心に解説します。
審美性が高い治療であることが保険適用外の理由
歯科クリニックで行われる治療で保険が適用される場合のルールに、“歯の健康を目的とした最低限の治療である場合”というものがあります。
例えば、虫歯治療などについては、歯の健康を維持するために必要な治療と認められていることから、保険が適用されます。
一方、セラミック治療の場合、歯の健康だけでなく、審美性も重視しているため、原則保険が適用されません。
こちらは、ホワイトニング治療などにも同じことが言えます。
手間や素材、材料代がかかることも理由の一つ
セラミック治療で詰め物や被せ物を作製する際、加工して歯の形にしたり、患者さんの歯の色と合うようにオーダーメイドでつくったりするため、必然的に手間や工程は多くなります。
また、セラミックを専門とする技工士に依頼し、質の高い技工物が完成する分、技術料も高くなります。
さらに、セラミックという素材自体も高価であり、治療ではより精度の高いものにすべく、保険診療では使用しない型取りの材料や接着剤を使用します。
このように、かなりの手間とコストがかかっていることから、セラミック治療は保険診療で提供するのが難しくなっています。
セラミック治療の費用相場について
セラミック治療にかかる費用は、選択する素材や範囲によって変わってきます。
代表的な素材にはオールセラミックやジルコニアセラミック、メタルボンドやハイブリッドセラミックが挙げられます。
全てがセラミックでできているオールセラミックは、詰め物の場合で6~8万円、被せ物の場合で8~22万円ほどかかります。
一方、高い強度が売りのジルコニアセラミックは詰め物が5~8万円、被せ物が10~20万円程度で装着できます。
またメタルボンドは、金属フレームにセラミックを焼き付けたもので、被せ物のみ作製できます。
このときの費用は8~15万円程度です。
さらにレジンとセラミックが混ざったハイブリッドセラミックは、詰め物で2~4万円、被せ物でも3~8万円とリーズナブルです。
セラミック治療の費用を抑えるには?
できるだけセラミック治療の費用を抑えるには、まず複数の歯科クリニックで相談することをおすすめします。
自由診療であるセラミック治療は、歯科クリニックによってかかる費用が異なります。
そのため、いくつか歯科クリニックを回ることにより、各院の価格を比較し、もっとも安いところに依頼できます。
また、セラミックにはいくつかの種類がありますが、中でももっともリーズナブルなのはハイブリッドセラミックです。
こちらは、レジンに近い材質であり、審美性はオールセラミックなどに比べると多少劣りますが、その分手軽に使用できます。
医療費控除の活用も一つの手
可能な限りセラミック治療の費用を抑えるには、医療費控除を活用するのも一つの手です。
医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円以上のとき、確定申告で申請することにより、税金の一部が返ってくるというものです。
セラミック治療の費用自体が安くなるわけではありませんが、後々返還される税金があることから、実質負担は軽減されます。
また医療費控除については、生計を共にする家族の医療費を合算して受けることが可能です。
そのため、一人の医療費が10万円を下回っていたとしても、他の家族とあわせて10万円を超えていればOKです。
メンテナンスを欠かさないことも大切
セラミック治療の費用を抑える方法としては、治療後のメンテナンスを欠かさないことも挙げられます。
メンテナンスを徹底し、セラミックの寿命を長くすることで、再治療の費用が発生しにくくなります。
セラミックの寿命は、一般的に10~15年程度です。
しかし、こちらはセルフケアやプロケアの質、虫歯や歯ぎしり・食いしばりなどの要因によって短くなることがあります。
一方、治療後のメンテナンスを欠かさずに続けることができれば、20年以上でも問題なく使用できることが考えられます。
こちらは、患者さんの負担だけでなく治療費の軽減にもなります。
高額でもセラミック治療が選ばれる理由
セラミック治療は工夫することで費用を節約できますが、保険診療の治療と比べて高額であることは事実です。
また高額でもセラミック治療が選ばれるのは、審美性に優れていたり、美しい状態を長期間保てたりすることが理由です。
さらに、セラミックは耐久性が高いですし、選択する素材によっては金属アレルギーのリスクも排除できます。
もちろん、噛み応えが自然で快適に使用できる点もメリットです。
つまりセラミック治療は費用が高いものの、決してコストパフォーマンスは悪くないということです。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・セラミック治療は審美性が高く、保険診療となるためのルールを満たしていない
・セラミック治療は手間や工程が多く、コストもかかるため、保険診療で提供するのが難しい
・セラミック治療の費用を抑えるには、複数の歯科クリニックへの相談、ハイブリッドセラミックの選択がおすすめ
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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