セレック治療は、治療の早さや安全性など、圧倒的にメリットの方が大きいですが、多少のデメリットは存在します。
その一つが、歯ぎしりや食いしばりによるリスクです。
ここからは、セレック治療で作製する補綴物と歯ぎしり、食いしばりの相性を中心に解説したいと思います。
歯ぎしり、食いしばりの危険性
通常、日中に上下の歯が接触している時間は、合計で20分にも満たないとされています。
つまり、日中の活動において、上下の歯が常に接触する、あるいはよく噛み締めてしまう、食いしばってしまうという方は、正常とは言えないということです。
また、歯ぎしりや食いしばりは、睡眠中にも多く見られます。
特に歯ぎしりをしている方は多く、こちらは最大約100kgの力が奥歯にかかっていると言われています。
普段噛む力は、大体体重と同じとされていて、食事のときはその約2~3割で噛んでいます。
このことからも、睡眠中の歯ぎしりがいかに危険であるかがわかります。
歯周病の急激な悪化にもつながる
歯ぎしりは、歯を支える歯槽骨という骨や歯茎などの歯周組織に対し、咬合性外傷という物理的なダメージを与えます。
歯周病菌による炎症がすでにある場合、ここに食いしばりによる過度な揺さぶりの力が加わることで、歯を支える骨の破壊スピードが何倍にも加速します。
これにより、歯周ポケットが急速に深くなり、歯がグラグラと動揺し始めます。
健康な歯茎であっても、強い力によって血行不良が起こり、歯肉が退縮して歯の根元が露出することがあります。
つまり細菌感染のコントロールだけでなく、力のコントロールを行わなければ、歯周病の進行を止めることができず、最終的に多くの歯を失うリスクが高まるということです。
顎関節症の発症や悪化の原因にも
食いしばりや歯ぎしりによる強い負荷は、耳の前方にある顎関節に直接伝わります。
関節内でクッションの役割を果たしている関節円板という軟骨が、圧力によって本来の位置から前方にズレてしまうと、口を開閉するたびに不快な音が鳴るようになります。
さらに症状が進行すると、関節自体や周囲の靭帯が炎症を起こし、口を大きく開けられなくなる開口障害に陥ります。
硬いものが噛めなくなるだけでなく、あごを動かすだけで激しい痛みが生じるため、食事や会話といった日常の基本的な動作に、重大な支障をきたすようになります。
慢性的な頭痛を引き起こすこともある
頭の横側、こめかみのあたりに位置する側頭筋は、顎を閉じる時に強く働く筋肉です。
歯ぎしりや食いしばりによってこの側頭筋が過剰に酷使されると、筋肉が持続的に収縮して血行不良に陥り、乳酸などの疲労物質が蓄積します。
これが原因となり、頭の両側をハチマキや万力でギューッと締め付けられるような、鈍い痛みが続く緊張型頭痛を引き起こします。
特に、一晩中歯ぎしりをしていた朝の起床時に頭痛が強く出やすいのが特徴です。
鎮痛剤を飲んでも根本的な原因である筋肉の緊張がほぐれないため、効果が出にくく、毎日のように頭痛に悩まされるという精神的なストレスにもつながります。
肩こりや首のこり、全身の歪みのリスク
咀嚼筋の緊張は、顎の周りだけに留まりません。
顎の動きをコントロールするために、首の筋肉や肩、背中の筋肉までが連動して過剰に緊張してしまいます。
そのため、マッサージをしてもすぐに再発するような、慢性的な頑固な肩こりや首の凝りに見舞われます。
さらに、噛み合わせのバランスが崩れた状態で強い力がかかり続けると、頭の位置が傾き、それを補正しようとして背骨や骨盤など全身の骨格にまで歪みが波及することがあります。
結果として、腰痛や股関節の痛みなど、一見すると口の中とはまったく関係のなさそうな全身の整形外科的な不調へとつながっていくリスクがあります。
歯ぎしりや食いしばりがあると補綴物はどうなる?
歯ぎしりや食いしばりがある方は、セレック治療で作製した補綴物が割れたり、欠けたりするリスクが高まります。
前述の通り、これらの行動は予想以上に強い負荷を歯に与えるため、衝撃に弱いセラミックの素材は耐えられません。
また、歯ぎしりや食いしばりは習慣になっているケースが多く、そのまま放置すると、補綴物の寿命を縮めることにもつながります。
特に、ギリギリと上下の歯をすり合わせるグライディングと呼ばれる歯ぎしりは、セラミックを削り、場合によっては外れてしまうこともあります。
セレック治療の前に歯ぎしり、食いしばりは改善すべき
セレック治療を受けるのであれば、前もって歯ぎしりや食いしばりを改善することが望ましいです。
これらの行動は、さまざまな要因が重なって起こります。
例えば、ストレスの蓄積や不規則な生活、寝不足などが原因になるため、まずはこれらを一つずつ見直していかなければいけません。
また、歯ぎしりや食いしばりの治療法としては、スプリント療法が挙げられます。
こちらは、透明のマウスピースを装着し、歯ぎしりや食いしばりのときに歯に与えるダメージを軽減するというものです。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・睡眠中の歯ぎしりでは、奥歯に最大約100kgもの負荷がかかっている
・歯ぎしりや食いしばりがある方は、セレック治療で作製した補綴物が割れる可能性がある
・歯ぎしり、食いしばりがセラミックを削り、寿命を縮めるおそれもある
・セレック治療を受ける前に、歯ぎしりや食いしばりはある程度改善すべき
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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