歯科クリニックの管理下で行うオフィスホワイトニング、ホームホワイトニングは、とても安全性の高い治療です。
しかし、場合によっては、患者さんにとって少し厄介な症状が現れることもあります。
今回は、ホワイトニングによって起こり得る主な副作用について解説したいと思います。
知覚過敏
知覚過敏は、冷たいものや温かいものなどを口に含んだときに、歯がしみるもしくは歯が痛いといった症状が現れるものです。
歯科クリニックのホワイトニングで使用する薬剤には、過酸化水素や過酸化尿素といった成分が含まれていますが、こちらの成分は、歯のエナメル質や象牙質へ過度に刺激を与え、知覚過敏を引き起こすことがあります。
特に、元々知覚過敏の症状が出やすい方や、歯にヒビが入っている方などは、知覚過敏を引き起こしやすいため、注意しなければいけません。
後戻り
歯磨き粉などを使って行うセルフホワイトニングとは違い、歯科クリニックのホワイトニングはきちんと効果が実証されています。
しかし、ホワイトニングによって一度白くなった歯がいつまでも白いままなのかというと、残念ながらそうではありません。
オフィスホワイトニングの場合は施術完了から3~6ヶ月、ホームホワイトニングの場合は1年ほどで、元の歯の色に戻ります。
こちらを後戻りといいます。
また、後戻りは少しずつ時間をかけて起こるものですが、喫煙をする方や、コーヒーやワインといった色が濃い飲み物を好む方などは、ヤニや着色汚れにより、後戻りのスピードが早まってしまいます。
色ムラ
せっかくホワイトニングを行うのであれば、誰もが全体の歯を均等に白くしたいと考えるでしょう。
しかし、場合によっては色ムラができ、白い歯と少しくすんだ歯が見られることがあります。
こちらの副作用は、どちらかというとホームホワイトニングで起こりやすいです。
ホームホワイトニングは、歯科クリニックの医師による施術ではなく、患者さん自身がマウスピースと薬剤を使って行うホワイトニングです。
このとき、薬剤の量を間違えたり、マウスピースがきちんと装着できなかったりすると、色ムラのリスクは高くなります。
歯髄炎
歯の表面に亀裂が入っている状態でホワイトニングを行うと、知覚過敏のリスクが高まるだけでなく、歯髄炎を引き起こすことも考えられます。
こちらは、ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素が歯の神経にまで到達することが原因です。
歯髄炎を引き起こしてしまった場合、最悪抜髄という神経の除去手術を行わなければいけません。
また虫歯の歯に対してホワイトニング治療を行った場合も、薬剤の過酸化水素が歯の神経を傷つけることがあります。
つまり、ホワイトニングが虫歯を悪化させる原因になってしまうということです。
口内粘膜炎
ホワイトニングの副作用としては、口内粘膜炎も挙げられます。
一般的に、口腔粘膜に潰瘍ができたり、ただれが見られたりする症状は口内炎と呼ばれます。
一方、ホワイトニング剤の主成分である過酸化水素が歯茎や口腔粘膜に触れて生じる炎症、潰瘍などについては、口腔粘膜炎と呼ばれます。
口腔粘膜炎は、特に濃度の高い薬剤を使用するオフィスホワイトニングで起こりやすいです。
ただし、前もって保護剤を塗布することにより、ある程度発症のリスクは軽減されます。
歯茎の痛み
ホワイトニングを行うことで生じ得る副作用としては、歯茎の痛みも挙げられます。
こちらは、ヒリヒリもしくはチクチクとした痛みや、焼けるような痛みのことを指しています。
灼熱感のような歯茎の痛みは、自宅で行うホームホワイトニングで起こりやすい症状です。
ホームホワイトニングの薬剤は、オフィスホワイトニングの薬剤と比べて濃度が低いですが、痛みが現れる可能性はゼロではありません。
また、歯茎の灼熱感は口腔粘膜炎と併発することもあり、場合によってはホームホワイトニングのマウスピースを装着するのが困難になることもあります。
ただし、こちらの症状はほとんどが一時的なものであり、数日で回復するケースが多いです。
吐き気
マウスピースを使用するホームホワイトニングでは、副作用として吐き気を催す方も少なくありません。
具体的には、長時間異物が口内に入ることにより、気分が悪くなってしまうという症状です。
その他、初めてマウスピースを装着したとき、反射的にマウスピースを口から出してしまうこともあります。
こちらは嘔吐反射と呼ばれるもので、日頃からブラッシングでも同じような症状が出ている方は、ホームホワイトニングでも起こりやすくなります。
また、ホームホワイトニングのマウスピースは、基本的に患者さんの口内にピッタリとくっついています。
しかしフィット感が不十分である場合、薬剤がすぐ口内に漏れ出してしまい、こちらも吐き気を催す原因になります。
一度に大量のホワイトニング剤を使用すると、口内に漏れる可能性が高いため、注意が必要です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・ホワイトニングの薬剤に含まれる過酸化水素や過酸化尿素は、知覚過敏を引き起こすことがある
・喫煙やワイン、コーヒーの摂取といった習慣がある方は、後戻りのスピードが早くなりやすい
・患者さん自身で行うホームホワイトニングでは、色ムラが発生しやすい傾向にある
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
患者様のことを最優先に考えた、オーダーメイドの治療プログラムで対応させて頂きます。