【和光の口腔外科】口内炎がなかなか治らない場合に考えられる病気

ほとんどの口内炎は、数日~2週間程度で自然に治ります。

また、その後跡が残ったり、後遺症を引き起こしたりすることもありません。

しかし、場合によっては、発症から2週間を過ぎても治らないことがあり、このような場合は、別の病気にかかっていることも考えられます。

今回はこちらの病気について解説します。

口腔がん

口腔がんは、その名の通り口の中にできるがんで、多くは舌や口底(舌の下側)、歯茎にできます。

初期の口腔がんでは、痛みや出血はなく、白い病変あるいは赤い病変として見られ、硬いしこりが確認できることもあります。

こちらの見た目は、一般的な口内炎の一つでありアフタ性口内炎に似ているため、口内炎だと思っていた症状がなかなか改善しない場合、口腔がんを患っている可能性があります。

ちなみに、早期がんであれば5年生存率は90%と高いですが、進行がんでは50%と低いため、必ず治療しなければいけません。

ベーチェット病

ベーチェット病は、身体の中の免疫バランスの異常によって起こる、全身性の炎症性疾患です。

トルコのイスタンブール大学のベーチェットという先生が報告したことから、こちらの名前が付きました。

こちらの病気は、症状が現れたり、治まったりすることを、長い期間にわたり何度も繰り返すことが特徴です。

また、多くの患者さんは、口内に潰瘍が見られ、こちらを口内炎と勘違いする方も少なくありません。

ちなみに、ベーチェット病には、他にも外陰部の潰瘍、皮膚症状、眼症状などの症状があり、こちらは一定の基準を満たすことで、口から医療費助成が受けられる難病に指定されています。

尋常性天疱瘡

尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)は、重度の自己免疫疾患で、免疫システムが何かの間違いで自身の身体の組織を攻撃し始めることで発症します。

中年層や高齢者の方に多く見られ、子どもにはほとんど起こりません。

また、こちらの主な症状としては、口内や皮膚、性器など身体の至るところにさまざまな大きさの水膨れができます。

口内にできたものは口内炎に似ていますが、重度になると命に関わることもあるため、注意が必要です。

血液のがん

血液のがんとは、悪性リンパ腫や白血病といった症状のことを指しています。

こちらを発症している場合も、なかなか口内炎が治らないことがあります。

なぜなら、血液の細胞ががん化することで、全身の免疫力が低下するからです。

また血液のがんの特徴としては、特定の場所に3mm以下の口内炎が複数できたり、治ってもすぐに再発したりするなどの症状が現れます。

血液のがんに関しては、歯科クリニックだけで対応することが難しいため、専門の医療機関への受診も必須になります。

決して放置してはいけません。

フィステル

口内炎がなかなか完治しない場合、口内にフィステルが形成されている可能性もあります。

フィステルは、簡単にいうと膿の出口です。

歯茎に白いニキビのようなものができ、膨らんではつぶれということを繰り返している場合、それは歯に起こった化膿性の炎症による膿の出口であることが考えられます。

見た目は口内炎と似ているため口内炎だと勘違いされがちですが、口内炎ほど痛みがない、膨らんではつぶれるという状況であれば、ほぼ間違いなくフィステルです。

ちなみにフィステルが形成される理由としては、歯根の周囲に膿が溜まる根尖性歯周炎、歯の破折といったものが疑われます。

このようなケースでは、放っておくと歯の周囲の骨がどんどん溶かされてしまうため、根の治療もしくは抜歯をしなければいけません。

その他の口内炎が治らない原因

その他の口内炎が治らない原因としては、単純に免疫力が落ちていることや、栄養バランスの乱れなどが挙げられます。

仕事が忙しい時期や睡眠不足が続いている時期には、免疫力が低下しやすくなります。

免疫力が低下すると口内炎ができやすくなり、このとき形成されるのはウイルス性口内炎です。

身体がヘルペスウイルスに感染していると、普段は悪さを起こしませんが、免疫力や体力が低下すると、口内炎として身体の奥から出現します。

また食事の好き嫌いが多いと、口内炎ができやすくなります。

こちらは栄養素の中に、皮膚を強くするものや修復を促すものがあるからです。

中でもビタミンB類は、傷ついた粘膜を修復する作用、免疫力を向上させる作用があるため、積極的に摂取しなければいけません。

口内炎が2週間続いたら歯科クリニックへ

口内炎の発症から2週間経っても改善しない場合、それは口内炎ではない可能性が高いです。

放置していると命に関わることもあるため、一度歯科クリニックを受診し、診断してもらうようにしましょう。

また重篤な疾患ではなく、口内炎の場合であっても、軟膏やレーザーなどの治療によって痛みを緩和したり、治りを早めたりすることが可能です。

通院して損はありません。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・口内炎の発症から2週間ほど経っても治らない場合、別の病気の可能性がある

・初期の口腔がんは、アフタ性口内炎に似たような口内の病変が見られる

・ベーチェット病の発症によって口内にできる潰瘍を、口内炎と勘違いするケースもある

・尋常性天疱瘡になると、口内だけでなく身体の至るところに水ぶくれができる

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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