歯科クリニックで矯正治療を行う際には、実際治療を開始する前に、精密検査を行います。
こちらは、安全かつ理想の矯正治療を行うためには必要不可欠なものです。
ここからは、矯正治療の精密検査において、主にどのようなことが行われるのかについて解説したいと思います。
写真撮影
矯正治療の精密検査では、まず顔と口内の写真を撮影し、矯正前の状態を記録します。
また、こちらの撮影は、定期的に実施することにより、治療経過を確認する際にも役立ちます。
例えば、出っ歯の方の場合、矯正治療前後で口元の印象が大きく変化するため、横顔の写真を見比べることにより、変化を確認しやすくなります。
ちなみに、口内の写真については、基本的に噛んだ状態の正面と左右側、口を開けた状態の上下の歯列の計5枚を撮影するケースが多いです。
患者さんが特に気になる部分があれば、追加で撮影します。
精密検査の主な目的
矯正治療の精密検査は、正確な診断と治療計画の立案、治療の質の向上、リスク把握と回避などを目的に行われます。
矯正治療を行う場合、歯並びの見た目だけでなく、顎の骨格や噛み合わせといった根本的な原因も考慮しなければいけません。
またその情報を元に、歯をどう移動させるのか、治療期間や費用などを決定します。
もちろん、精密検査によって治療の成功率は高まり、より良い仕上がりが期待できるようになります。
さらに、治療中に起こり得るリスクや注意点を事前に把握し、安全に治療を進めることも可能です。
ちなみに小児矯正の場合、成長予測に基づいて治療のタイミングや方法を判断するために、精密検査が行われます。
レントゲン撮影、CT撮影
矯正治療の精密検査において欠かせないものとしては、レントゲン撮影も挙げられます。
口内のレントゲンは、肉眼では確認できない歯や根っこの状態を確認するための必要なものです。
また、顔全体のレントゲンを撮ることにより、顔のバランスを考慮し、どのくらい歯を動かすのがその患者さんにとって最適なのかを分析できます。
ちなみに、パノラマなどのレントゲン撮影では、2次元画像の確認となりますが、CT撮影の場合、3次元画像で歯や骨の状態を確認することが可能です。
レントゲン撮影の種類について
矯正治療の精密検査で行われるレントゲン撮影には、先ほど少し触れたパノラマレントゲン、セファロレントゲンなどがあります。
パノラマレントゲンは、顎全体を撮影し、歯の数や位置、歯根の長さや顎の骨の状態などを確認するためのものです。
またセファロレントゲンは、頭部X線規格写真とも呼ばれるもので、頭部を横から撮影し、頭蓋骨に対する上下の顎の骨や歯の位置、傾斜を分析します。
ちなみに、CT撮影は必要に応じて行われるものであり、必ずしも実施されるとは限りません。
歯型取り
矯正治療の精密検査では、上下の歯並びの歯型を取ります。
こちらは、粘度のようなやわらかい材料を口の中に入れて数分待つことで、歯型を採得できるものです。
歯型を取ることにより、歯1本1本の大きさや現在の噛み合わせの確認、計測を行います。
また、その歯型を元に、治療終了後の歯並びをシミュレーションした模型を作製することもあります。
ちなみに、歯型取りは大人の方でも苦手なケースが多いですが、近年は型取りをせず、歯型をスキャンして読み込むことができる、口腔内スキャナーという機械を導入している歯科クリニックも増えてきています。
精密検査を行わずに矯正治療を行うとどうなる?
矯正治療において精密検査を行わなかった場合、治療後に後戻りが起こり、歯並びが元に戻ってしまう可能性があります。
また歯が計画通りに移動せず、治療期間が長引くことも考えられます。
さらに、歯を動かす力が適切でなかったり、長期間にわたって不必要な力が加わったりすることで、歯の根が溶けて短くなる歯根吸収のリスクも高まります。
その他歯のぐらつきや脱落、歯茎の退縮や不適切な噛み合わせ、顎関節への影響など、精密検査を行わない場合はさまざまなリスクにつながります。
近年、手軽なオンライン矯正も普及していますが、こちらは対面での精密検査や診断が行われないことが多いです。
そのため、深刻な問題を引き起こす可能性があると警告されています。
精密検査の所要時間と費用について
矯正治療前の精密検査を受ける場合、検査内容は各歯科クリニックによって異なりますが、一般的には1時間~1時間半程度かかることが多いです。
また費用も歯科クリニックによってバラバラですが、数万円程度はかかると考えておきましょう。
矯正治療は、見た目を整えることが目的と判断されるため、原則として保険が適用されない自由診療として提供されます。
ちなみに精密検査後に提示された治療計画や費用、期間などに納得できない場合、契約をしないという選択をすることも基本的には可能です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・矯正治療の精密検査は、安全かつ理想の矯正治療を行うために必要な検査
・顔や口内の写真撮影は、矯正前の状態の記録や経過確認のために行われる
・適切な治療計画を立てるためには、レントゲン撮影やCT撮影も欠かせない
・歯型取りで、歯1本1本の大きさや現在の噛み合わせの確認や計測も行う
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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