【和光市の歯医者】小児の“口唇口蓋裂”について

小児の中には、生まれつき身体に異常が発生している子もいます。

今回解説する小児の“口唇口蓋裂”は、口周りの異常であり、親御さんは原因や治療法などについて知っておく必要があります。

また、今後出産予定だという妊婦の方も、本記事をご覧になっていただけると幸いです。

小児の口唇口蓋裂とは?

小児の口唇口蓋裂は、先天性異常の1つであり、唇や上顎(口蓋)に裂け目が入る症状です。

正確には、唇に裂け目が入っているものを口唇裂、顎の骨が裂けているものを顎裂、口の中の上側の部分が裂けているものを口蓋裂といいます。

こちらは、日本人に多いとされる先天性異常で、約500人に1人の割合で発症します。

そのため、極めて珍しいというわけではありませんが、裂け目があることで空気が漏れ、哺乳がしにくくなったり、発音に影響が出たりと、対処しなければさまざまな不都合が発生します。

その他の原因

その他の原因としては、妊娠初期の日常的な飲酒が挙げられます。
妊娠中、特にお腹の赤ちゃんの器官が作られる妊娠初期におけるアルコールの摂取は、口唇口蓋裂のリスク因子として指摘されています。

お母さんが飲んだアルコールは胎盤を容易に通過し、肝臓の機能が未熟な胎児の体内へと直接流れ込みます。
アルコールとその代謝産物であるアセトアルデヒドは、胎児の細胞分裂を妨げたり、細胞の成長を阻害したりする毒性を持っています。

これにより、顔面を形成する細胞の増殖が遅れ、突起同士が本来くっつくべきタイミングで届かなくなってしまいます。
安全な飲酒量という基準は存在しないため、妊娠を望む時期や妊娠が判明した瞬間から、完全にアルコールを断つことが赤ちゃんを守るために重要です。

また口唇口蓋裂は、それ単独で発生することが大半ですが、全体の数割程度は他の身体的な特徴や内臓の疾患を伴う症候群の一つの症状として現れることがあります。
これらは、胎児の染色体の数や構造に変化がある場合(13トリソミー、18トリソミーなど)や、特定の遺伝子に変異がある場合に起こります。

代表的なものとしては、ヴァン・デル・ウーデ症候群やスティックラー症候群などが挙げられます。
これらは唇やあごの裂け目だけでなく、下唇の小さなくぼみや、目の異常、関節のトラブルなどを合併することが特徴です。

このような場合は、小児科や遺伝医療の専門医が加わり、全身の状態を総合的に詳しく調べながら治療計画を立てていきます。

小児の口唇口蓋裂における原因

小児の口唇口蓋裂における原因としては、主に以下のことが挙げられます。

・妊娠初期に赤ちゃんに異常な力が加わる
・母親の精神的ストレスや栄養障害
・副腎皮質ステロイド薬や鎮痛剤などの薬の使用
・風疹の発症
・放射線照射を受ける など

また、上記だけでなく、遺伝や高齢出産、母親の喫煙なども口唇口蓋裂の原因になるとされています。

ただし、口唇口蓋裂の原因は特定できないケースが多く、実際発症したケースのおよそ70%は原因不明とされています。

小児の口唇口蓋裂における治療法

小児の口唇口蓋裂治療は、一部の小児歯科などで実施することが可能です。

また、治療法としては、口蓋形成術、顎裂部骨移植術などが一般的です。

口蓋形成術は、口内の天井部分における裂け目を塞ぐ治療であり、1~1歳半程度の幼児に対して行われるのが一般的です。

また、口唇口蓋裂では、顎の骨が欠損する顎裂もよく見られますが、このような場合は乳歯から永久歯へ生え変わる時期に、顎の骨の欠損部分に別の部位の骨を移植し、今後生えてくる永久歯に対するケアを行います。

こちらが顎裂部骨移植術です。

ちなみに、これらの治療を行った後には、発音の訓練や反対咬合の矯正治療なども行う必要があります。

その他の治療法

その他口唇口蓋裂と関係のある治療としては、言語治療や滲出性中耳炎の治療などがあります。

口蓋形成術によって上あごの形が整った後、言葉が活発になる3歳頃から専門的な言語治療が始まります。
手術が成功しても、それまで息が鼻に抜ける話し方に慣れていた子どもは、間違った口の使い方が癖になっている場合があります。

言語聴覚士が定期的に評価を行い、遊びを取り入れた楽しいレッスンを通じて、口の筋肉を正しく使い、息を適切にコントロールしてきれいな音を出す方法を指導します。

また上あごの筋肉の閉まりが緩く、どうしても空気が鼻に漏れてしまう鼻咽腔閉鎖不全が見られる場合もあります。
この場合はスピーチエイドという特殊な装置を口の中に装着して発音を助けたり、必要に応じて空気の漏れを防ぐ追加の手術を検討したりします。

さらに口蓋裂を持つ子どもは、耳と鼻をつなぐ耳管という管の周囲の筋肉が生まれつきうまく働かないため、耳管の換気機能が低くなっています。
そのため、中耳に液体が溜まる滲出性中耳炎を非常に発症しやすいという特徴があります。

この中耳炎は、強い痛みを伴わないことが多いため見落とされがちですが、放置すると難聴の原因となり、結果として言葉の発達が遅れる大きなリスクにつながります。
よって、出生直後から耳鼻咽喉科と密に連携し、定期的に耳の状態をチェックします。

中耳炎が長引く場合や難聴の兆候がある場合は、鼓膜に小さなプラスチック製のチューブを挿入して換気を促す鼓膜換気チューブ挿入術を行い、子どもの聴力を正常に維持します。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・小児の口唇口蓋裂は、唇や上顎(口蓋)に裂け目が入る先天性異常の1つ

・小児の口唇口蓋裂にはさまざまな原因があり、原因を特定できないケースも多い

・遺伝や高齢出産が口唇口蓋裂の原因になることも

・小児の口唇口蓋裂治療としては、口蓋形成術、顎裂部骨移植術などが一般的

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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