小児歯科が教えます!~強い赤ちゃんの歯のつくり方~

妊娠中の女性が摂取する食べ物は、これから生まれてくる赤ちゃんの歯の強さに影響します。

なぜなら、妊娠約10週目の時点で、乳歯の芽である歯胚はほぼ出来上がるからです。

今回は、小児歯科の観点から、強い赤ちゃんの歯をつくるため、妊娠中の女性に摂取していただきたい栄養素について解説します。

赤ちゃんの歯の発育の流れ

赤ちゃんの歯については、妊娠初期に歯の基である歯胚が形成されます。
その後、将来生え変わる永久歯の歯胚もつくられ始めます。

さらに妊娠中期にまで進むと、歯の石灰化が進み、丈夫な歯の土台がつくられていきます。

そして妊娠後期にまでなると、乳歯の先端部分である歯冠が発達していきます。
歯冠は歯茎から出る部分で、実際に噛む役割を果たす部分であるため、正常に発達するかどうかはとても重要です。

ここまで読んでいただけるとわかるように、赤ちゃんの歯の構造や良し悪しについては、妊娠中にほとんど決まるといっても過言ではありません。

カルシウム、リン

妊娠中の女性は、小児歯科の観点から、カルシウムやリンを積極的に摂取し、赤ちゃんの歯を強くすべきです。

歯の大部分をつくる石灰分は、カルシウムとリンで成り立っています。

そのため、妊娠中はチーズや牛乳などの乳製品、ひじきや小魚などを食べ、上手にこれらの栄養素を摂取しなければいけません。

また、カルシウムとリンを摂取する際はバランスが重要で、いずれかが不十分だと、うまく身体に吸収されない可能性があります。

特に、カルシウムは不足しがちな栄養素であるため、意識して摂るようにしましょう。

ビタミン類

小児歯科の観点からいうと、妊娠中の女性は、赤ちゃんの歯を強くするためにビタミンA、ビタミンDもしっかり摂取すべきです。

ビタミンAは、エナメル質と呼ばれる歯の表面の部分の土台をつくるためになくてはならない栄養素です。

口腔内の粘膜を強くする働きもあります。

また、ビタミンDはカルシウムの吸収率を高めてくれることから、骨に良い成分とされていて、歯胚の石灰化においても良い効果が期待できます。

ちなみに、ビタミンAはレバーや卵黄、ビタミンDは鮭やサンマなどの多く含まれています。

タンパク質

赤ちゃんの歯を強くするためには、タンパク質も十分に摂取しなければいけません。
こちらは、乳歯の歯胚と呼ばれる歯の芽が、妊娠初期にタンパク質を基につくられるからです。

冒頭でも軽く触れましたが、妊娠7週頃から乳歯の歯胚が形成され始め、この時期にタンパク質が不足すると、歯胚の形成に影響が出ることがあります。

また妊娠中期(4~6ヶ月頃)になると、歯胚にカルシウムやリンが沈着し、歯が硬くなる再石灰化が始まります。
この時期には、カルシウムやリン、カルシウムだけでなく、ビタミンA・C・Dなどの栄養素も必要になります。

なるべく摂取しない方が良いもの

小児歯科の観点から、赤ちゃんの歯を強くするためには、妊娠中の加工食品の摂取をなるべく避けるべきです。

菓子パンやインスタント麺などの加工食品には、食品添加物としてリンが使用されていて、摂取しすぎるとカルシウムとのバランスが崩れ、低摂取を引き起こしてしまいます。

また、動物性脂質の過剰摂取も、カルシウムの吸収を阻害することにつながるため、注意しなければいけません。

動物性脂質は、肉類(牛、豚など)、バター、ラード、アイスクリームなどに多く含まれています。

妊娠中の女性は歯周病にも注意すべき

妊娠中は、前述したようなものをなるべく摂取しないようにすべきですが、歯周病の発症にも注意しなければいけません。
近年の研究では、歯周病菌が血液を介し、子宮に影響を及ぼすことがわかっています。

具体的には歯周病菌が産生した毒素などが子宮を収縮させ、流産や早産を引き起こし、胎児の成長に影響するため、低体重児になりやすくなるという仕組みです。
特に重症の歯周病では、早産や低体重児出産のリスクが7倍にもなるとされています。

もちろん胎児に悪影響を及ぼす可能性があるということは、胎児の歯にも何らかの影響が出ると考えられます。

妊娠中の歯周病を予防するには?

妊娠中における歯周病の発症リスクを抑えるには、とにかくセルフケアを怠らないことが大切です。

妊娠するとホルモンバランスが変化し、歯茎の腫れや出血を引き起こしやすくなります。
そのため、歯と歯茎の健康には十分な注意が必要です。

ただし妊娠中は悪阻(つわり)がひどくなることがあるため、ブラッシングが困難な場合は体調が良いときを見計らったり、うがいで対応したりしましょう。

ちなみに、妊娠中に歯科クリニックを受診する時期は、妊娠中期が理想的です。
赤ちゃんの重要な器官が形成される妊娠初期、出産準備が進む妊娠後期については、緊急時でない限り歯科クリニックの受診を避けるべきです。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・妊娠中の女性が摂取する食べ物は、これから生まれてくる赤ちゃんの歯の強さに影響する

・小児歯科の観点から、赤ちゃんの歯を強くするために、カルシウム、リンをバランス良く摂取すべき

・ビタミンA、ビタミンDの積極的な摂取も重要

・インスタント麺などの加工食品、動物性脂質は摂りすぎないように注意が必要

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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