舌磨きには、口臭を軽減したり、味覚を正常に保ったりといったさまざまな良い効果があります。
しかし、舌磨きをしすぎると、かえって口内環境が悪くなってしまうことがあります。
ここからは、舌磨きをしすぎることのデメリットと、それらへの対策について解説したいと思います。
口臭が悪化する
冒頭でも触れたように、舌磨きで舌苔を取り除くことにより、口臭の軽減が期待できます。
しかし、舌磨きをしすぎると、口臭がかえって強くなってしまうことがあるため、注意しなければいけません。
舌の表面には、乳頭と呼ばれる小さな突起があります。
舌磨きの頻度が多かったり、力が強かったりすると、こちらにキズがつき、細菌が入り込みやすくなります。
その結果、唾液の分泌量が減少し、口臭につながってしまうという仕組みです。
味覚に問題が生じる
こちらも冒頭で触れましたが、本来舌磨きは、味覚を正常に保つ効果があるものです。
しかし、舌磨きをしすぎることにより、舌の表面にキズがついてしまい、味覚障害を引き起こすことがあります。
こちらも、度を越えた舌磨きのデメリットだと言えます。
舌には味蕾という部分があり、こちらは甘味、苦味、塩味、酸味といった味を感じる細胞の塊です。
舌磨きを頻繁にしすぎると、こちらにキズがつき、食べ物の味がぼやけてしまいます。
つまり、何を食べても特徴が感じられず、美味しく食べることができなくなるということです。
舌苔の誤認
舌磨きをしすぎることのデメリットとしては、舌苔の誤認も挙げられます。
舌苔は、舌の表面に付着する苔のような汚れです。
こちらが付着している場合、歯の表面が白く変色するため、舌が汚れているか否かがわかりやすいです。
しかし舌磨きをしすぎたことにより、舌の細胞が傷ついてしまうと、舌の表面が舌苔のように白っぽく見えることがあります。
そのため、誤って舌苔だと判断してしまい、さらに磨きすぎてしまうことにつながります。
特に、舌ブラシではなく普通の歯ブラシで磨いた場合、さらに舌の表面の傷は増えていきます。
デメリットへの対策
舌磨きをしすぎることによって生じるデメリットには、やはり正しい舌磨きをすることで対策しなければいけません。
まず、舌磨きの頻度に関しては、1日1回が目安です。
1日に何度も行うと、舌の表面を傷つけてしまいます。
タイミングとしては、舌苔の付着量が多い朝がおすすめで、磨くときに使うブラシは、専用の舌ブラシや、普段歯磨きで使っている歯ブラシを使用します。
このとき、舌専用のクリーニングジェルをあわせて使うと良いでしょう。
また、無駄に舌を傷つけないよう、舌磨きは必ず鏡を見ながら行うべきです。
舌苔の付いていないところは、基本的にブラッシングをする必要がありません。
舌磨きの正しい流れ
先ほど、舌磨きの頻度やタイミングなどについて解説しましたが、ここで改めて正しい流れについて説明します。
まず専用の舌ブラシを用意し、舌が乾燥している場合は水や舌磨き用のジェルで湿らせます。
舌が乾いた状態で磨くと、表面を傷つけてしまうリスクが高まります。
また舌を磨くときは、鏡を見ながら舌をできるだけ前に突き出します。
こうすることで、磨き残しのリスクを軽減できます。
舌ブラシの動かし方については、ブラシを舌の奥に軽く当て、奥から手前に向かって優しく、軽い力で数回かき出します。
最後に水でうがいを行い、口内を洗浄すれば完了です。
舌磨きの意外なメリットについて
舌磨きは口臭ケアや虫歯、歯周病予防などさまざまなメリットがありますが、実は他にもメリットが存在します。
まず、誤嚥性肺炎のリスクを軽減できるのはメリットだと言えます。
誤嚥性肺炎は、食べ物が食道ではなく気道に入ってしまうことにより、肺に細菌が入って肺炎を引き起こす疾患です。
舌に付着した舌苔は、たくさんの汚れや細菌が集まったものです。
そのため、絶対に付着した細菌が呼気や唾液を介して気道に入ると、肺炎を引き起こすことがあります。
一方普段から舌磨きを行い、舌苔を除去しておけば、このような疾患のリスクは軽減されます。
感染症予防に効果的
舌磨きは、虫歯や歯周病以外の感染症予防にも効果的です。
デンタルケアが不十分で口内細菌の量が多い方は、インフルエンザや風邪などのウイルス感染症を発症しやすいという研究結果があります。
こちらは口内細菌の生み出す酵素が、ウイルスが口内に入ったとき、粘膜細胞に入り込みやすくなる手助けをするためと考えられています。
舌に付着している舌苔が多い場合、細菌の数も必然的に多くなるため、感染症予防のためにも取り除くことが大切です。
また舌苔が厚くなると、口内の環境が悪化し、免疫力が低下しやすくなります。
もちろん、免疫力の低下は全身にまで影響します。
免疫力は、ウイルスなどに対抗するための力であるため、低下しているときはよりインフルエンザや風邪にかかりやすいです。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・舌磨きをしすぎると、唾液の分泌量が減り、かえって口臭が悪化することがある
・味蕾にキズがつき、味覚に問題が生じることも、舌磨きをしすぎることのデメリット
・舌磨きは1日1回(朝)、舌ブラシやクリーニングジェルを使用して行う
・無駄に舌を傷つけないよう、舌磨きをする際は鏡を見て舌苔を落とす
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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