皆さんは食事をする際、正しい食べ方について意識したことはありますでしょうか?
姿勢や歯の使い方が悪いと、舌や唇といった口腔周囲筋のバランスが崩れ、歯並びや顎に悪影響を及ぼすことがあります。
今回は、食事における正しい姿勢や噛み方、飲み込み方について解説します。
正しい姿勢について
食事をする際は、まず正しい姿勢を取ることが大切です。
具体的には、猫背で前かがみにならないよう、背筋をまっすぐ伸ばして座ります。
このとき、イスに座る場合は、両足をきちんと床につけることも意識してください。
こうすることで、虫歯や歯周病、噛み合わせの悪化といった症状を防止することができます。
人は猫背のとき、口が開いたままになることが多く、必然的に口呼吸の機会が増えます。
口呼吸が増えると、唾液の分泌量が減少し、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
また、食事中背中が曲がっていたり、左右いずれかを向いた状態になっていたりすると、少しずつ噛み合わせがずれる傾向にあります。
顔や食器の位置も大切
食事の際に正しい姿勢を取るには、顔や食器の位置も調整することが大切です。
食べ物を口に運ぶとき、顔が下や横を向いていると、噛む力がしっかり伝わらず咀嚼力が下がってしまいます。
そのため、まっすぐ前を向きながら噛むことを意識すべきです。
テレビやスマホの動画などを観ながら食事を摂ると、顔の向きが前を向かないことが多いため、注意してください。
また食器の位置については、遠すぎると前かがみになるなど姿勢の悪化につながります。
よって、お茶碗は必ず手で持つようにし、お皿も近くに置くようにしましょう。
こうすることで、無理のない姿勢での食事が可能になります。
正しい噛み方について
食事における正しい噛み方で意識したいのは、それぞれの歯をしっかりと使うことです。
前歯には食べ物を切る役割があり、奥歯には食べ物をすりつぶす役割があります。
そのため、前歯ではなく奥歯を使って食べ物を噛みちぎったり、奥歯ではなく前歯で食べ物をすりつぶしたりすると、均等に歯が使えず、噛み合わせのバランスが乱れるおそれがあります。
また、歯を均等に使用するには、食べ物が前方に偏らないように頬、唇の力と舌の力を上手に使うことも意識すべきです。
食べ物を噛む順番について
食事の際は、それぞれの歯をしっかり使うことが大事だという話をしました。
このとき、歯を使う順番についても意識することが大切です。
具体的には、まず前歯でものを噛み切り、口を閉じます。
その後、舌で少しずつ食べ物を口の奥の方に運び、歯全体を使って咀嚼します。
最後に奥歯ですり潰し、そのまま飲み込みます。
前歯で大まかに噛みちぎり、歯列全体で少しずつ細かくした後、仕上げに奥歯ですり潰すというイメージです。
前歯の噛み合わせが悪い方は、奥歯でものを噛み切ろうとすることがありますが、こちらは奥歯のダメージの蓄積につながります。
そのため、出っ歯などの不正咬合がある方は、早めに矯正することをおすすめします。
正しい飲み込み方について
食べ物を噛んだ後は、以下のポイントを押さえた上で飲み込むのが正しい方法です。
・唇を軽く閉める
・舌の中央部を上顎に吸い付け、舌の根元を押し上げる
・奥歯は噛んだ状態
・顔の揺れがない
逆に、正しくない飲み込み方の例としては、舌を前に出しながら飲み込む逆嚥下というものが挙げられます。
こちらは、赤ちゃんがお乳を吸うときに使われる方法であり、実際行うことにより、誤嚥性肺炎や歯並びの乱れを誘発してしまう可能性があります。
間違った飲み込み方におけるデメリット
食事の際に間違った飲み込み方をしていると、誤嚥性肺炎や歯並びの乱れのほか、口内が傷つくリスクも高まります。
例えば口内を陰圧にして飲み込むことにより、頬や口唇が内側に吸われ、歯の跡がつくことが考えられます。
また飲み込むたびに上下の歯が当たると、知覚過敏や痛みも生じやすくなり、大臼歯の歯周病が進行したり歯の破折が起こったりします。
さらに、口内の空気を溜め込むことでお腹にガスが溜まったり、気管に唾が入ってむせたりするのもデメリットです。
歯に優しいものを摂取することも大切
食事の際は姿勢や噛み方、飲み込み方だけでなく、なるべく歯に優しいものを摂取することも大切です。
具体的には、食物繊維が豊富な野菜や果物、乳製品などがおすすめです。
リンゴやニンジン、セロリなどの野菜や果物は、噛むことで唾液の分泌を促し、歯を清潔に保ちます。
またホウレンソウや小松菜、ブロッコリーやキャベツなどは、ビタミンやミネラルが豊富で歯の健康をサポートしてくれます。
さらに牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品はカルシウムが豊富であり、歯のエナメル質を強化する働きがあります。
ちなみにビタミンEが豊富なナッツ類、ビタミンB6が豊富なカツオやサンマなどの摂取も効果的です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・食事では正しい姿勢、噛み方、飲み込み方を実践する必要がある
・食事を摂る際は、猫背で前かがみにならないよう、背筋をまっすぐ伸ばして座る
・食事における噛み方で意識したいのは、それぞれの歯を均等に使うこと
・食事の飲み込み方では、舌を前に出しながら飲み込む逆嚥下にならないように注意する
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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