歯列矯正は、歯並びや噛み合わせ、良好な咬合の維持を目的とした審美歯科治療です。
マスクを着用する機会が多い昨今、これまでより見た目を気にしなくても良いことから、治療を受ける方も増えていますが、歯列矯正をするのであれば、事前に知っておきたい注意点がいくつかあります。
詳しく見てみましょう。
痛みについて
歯列矯正を受ける方の中には、治療中の痛みについて気になる方も多いかと思います。
結論からいうと、治療法によっては、ある程度痛みが発生することはあります。
歯列矯正は、歯と歯の周囲の組織を壊し、その再生力を利用して場所を移動させるというプロセス上、どうしても鈍痛を覚えることがあります。
ただし、決して耐え難いほどのものではなく、実際治療を受けた方の多くは、「治療に慣れてくれば気にならない」と感じています。
また、口腔内の状態によっては、歯列矯正によって多少の出血が見られる場合もあるため、こちらも注意点として事前に把握しておきましょう。
その他の症状との兼ね合いについて
歯列矯正を受ける前に知っておきたい注意点としては、虫歯治療や歯周病治療との兼ね合いも挙げられます。
歯列矯正の治療中は、虫歯の治療が困難になります。
そのため、事前に虫歯治療を終えておく必要がある上、矯正中に虫歯を発症しないように、日々の生活習慣も改善しておかなければいけません。
また、歯周病のまま歯列矯正を始めてしまうと、歯周病がより悪化してしまう可能性があるため、こちらも事前の治療が必要です。
ちなみに、親知らずが生えている場合も、矯正治療による奥歯の移動が困難になることが考えられます。
矯正後にできる歯の隙間について
歯列矯正を受けた後、稀に歯の間に三角形の隙間ができることがあります。
こちらは“ブラックトライアングル”と呼ばれるもので、腫れていた歯茎が歯列矯正後に引き締まったり、歪んでいた歯がキレイに並ぶ過程において、歯の間の歯肉が引き伸ばされたりすることで生じるものです。
個人差があり、必ずしも生じるものではありませんが、発生すると食べカスが詰まりやすくなるなどのデメリットが生じます。
ただし、こちらは歯列矯正後、横の歯を少し削るなどして目立たなくすることは可能です。
矯正中の食事について
矯正期間中は、食事に関する制限が多くなります。
例えば粘着性の高いもの、前歯でかじることが必要な硬いものなどは、矯正中の食事では控えてください。
粘着性の高いものにはガムやキャラメル、硬いものにはリンゴや骨付き肉、ナッツや煎餅などが該当します。
また矯正装置に引っかかったり、挟まったりしやすいものもなるべく避けるべきです。
引っかかりやすいものとしては、長ネギやえのき、ホウレンソウのおひたしなどが挙げられます。
挟まりやすいのは、ハンバーグやミートソースなどの挽肉料理、トウモロコシなどの細かい食品です。
ちなみにゴムを装着している場合、カレーやキムチ、コーヒーなどを摂取するとゴムが染まりやすくなります。
矯正治療の効果を半減させる癖について
矯正治療中は、治療の効果を半減させる癖をなるべく避けるようにしましょう。
具体的には頬杖をつくことや爪を噛むこと、指しゃぶりや舌で歯を押す癖などが挙げられます。
その他、口呼吸や歯ぎしりも避けたい癖の一つです。
歯列は頬や口内の筋肉、舌の絶妙な力加減によって成り立っています。
そのため上記のような癖によって歯に直接力が加わったり、歯の周囲の筋肉を弛緩させすぎたりすると、歯がきちんと並ぶことができません。
その結果、歯並びがガタガタになったり、出っ歯になったりする可能性があります。
またこれらの癖は無意識のうちにやってしまっていることが多いため、普段の生活で強く意識しなければ治せません。
矯正後の保定期間について
矯正治療は、歯を動かして理想の歯並びが完成したら終わりというわけではありません。
歯を当初の予定通り動かした後は、保定期間に入ります。
保定期間は、移動した歯を固定することにより、後戻りを防ぐために必要な期間です。
この期間では、矯正装置とはまた別にリテーナーという装置を装着しなければいけません。
また矯正治療後の保定期間は、一般的には1~3年程度必要です。
こちらは歯を動かすのにかかった期間と同程度であり、患者さんが想像しているより長くなるケースも多いです。
矯正治療に伴う歯肉退縮について
矯正治療を受けたことにより、歯肉退縮の症状が出ることがあります。
歯肉退縮は、簡単にいうと歯茎が下がることです。
間違ったブラッシングで歯茎が傷ついたり、歯周病を発症したりすることで生じます。
また矯正治療においても、歯を動かすことで歯茎が下がることがあります。
特に上下の前歯各4本を指す切歯、歯の凸凹が大きい患者さんの治療で起こるケースが多いです。
歯茎が下がっている場合、歯根部に虫歯が生じやすくなるため、放置するのは良くありません。
ちなみに一度下がった歯茎を改善するには、歯肉移植が必要な場合もあります。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・歯列矯正の治療法によっては、ある程度矯正中の痛みが発生する
・矯正中に出血する可能性があることも、歯列矯正における注意点
・虫歯や歯周病の症状がある方、親知らずが生えている方は歯列矯正が困難になる
・歯列矯正後、歯の間に三角形の隙間ができてしまうことがある
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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