唾液が少なくなると、虫歯が増加したり、口臭が強くなったりと、口内環境が悪化しやすくなります。
また、口内炎など、痛みを伴う症状につながる可能性も高く、そのままの状態で放置するのは危険です。
今回は、唾液の分泌量が減少してしまう主な原因について解説したいと思います。
口呼吸
唾液の分泌量が減少する原因としては、まず口呼吸が挙げられます。
本来、呼吸を行うメインの器官は鼻であり、鼻呼吸は空気が多くの壁に仕切られている副鼻腔を通過するため、乾燥が起こりにくいです。
一方、口呼吸の場合、口腔内の粘膜が空気に触れるため、乾燥しやすく、必然的に唾液の分泌量は少なくなります。
また、普段口呼吸が多い方は、慢性的な鼻炎など、何かしらの理由で鼻呼吸がしにくく、やむを得ず口呼吸が増えていることが考えられます。
そのため、思い当たる節がある方は、まずそちらの症状を改善させなければいけません。
咀嚼回数が少ない
唾液の分泌量が減少する理由としては、咀嚼回数が少ないことも挙げられます。
唾液はものを咀嚼することにより、唾液腺が刺激され、分泌量が増加するものです。
そのため、柔らかい食べ物ばかり食べていたり、あまり噛まずに早食いばかりしていたりすると、唾液の量はなかなか増えません。
また、中には普段の仕事が忙しく、ゆっくりリラックスできる時間や睡眠時間を確保したいがために、食事を流し込むように食べる方もいますが、こちらも唾液の減少につながります。
普段からガムを持ち歩き、口内が乾いていると感じるときに噛むなどすれば、このような状況はある程度回避できます。
口内の病気
唾液の分泌量が減少する原因には、口内における病気の発症も挙げられます。
例えば、自己免疫の異常によって引き起こされるシェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺に慢性的な炎症が起こり、それらの器官の機能を低下させてしまう病気です。
こちらは、口の乾きだけでなく、目の乾きや充血、痛みなどにもつながります。
また、反復性耳下腺炎も、唾液の分泌量減少につながる病気の1つです。
こちらは、唾液腺の一種である耳下腺の炎症を繰り返す病気であり、唾液が分泌されるための唾液管が拡張することにより、唾液が貯蓄されやすくなることが主な原因です。
加齢
加齢そのものが唾液を減少させるわけではありませんが、一般的に高齢の方は多くの薬を服用したり、全身疾患を患っていたりすることが多いです。
これらの習慣や疾患が、唾液の量を減らしてしまうことはあります。
また年齢を重ねると、口周りの筋力が低下したり、歯を失ったりします。
それに伴い咀嚼力が低下し、唾液の分泌量が少なくなることも考えられます。
ちなみに唾液の量を減少させる副作用がある薬としては、降圧剤や抗うつ剤などが挙げられます。
ストレス
唾液の分泌量が減少する理由には、ストレスも挙げられます。
皆さんの中にも、緊張して喉が渇いたという経験をしたことがある方はいるでしょう。
こちらは交感神経が優位に働き、唾液が出るのを抑えているからです。
逆に副交感神経が優位になれば、唾液の分泌量は増加します。
また日常生活においてストレスが溜まると、身体が緊張状態になり、交感神経が優位に働いて唾液は減少します。
そのため、趣味やスポーツなどリラックスできる時間をつくり、なるべく副交感神経を優位に働かせることが大切です。
コミュニケーションの機会が少ない
人とコミュニケーションを取る機会が少ない方も、唾液の分泌量は減少しやすくなります。
例えば営業職や接客業ではなく、一人で黙々と業務をこなすような仕事に就いている方は、人と話す機会が多くありません。
そのため、必然的に口や舌を動かす機会も減少し、唾液のスムーズな分泌が難しくなります。
このような環境の方は、日常的に人とコミュニケーションを取る機会を設け、なるべく口を動かすようにしましょう。
もちろん、話し相手は友人だけでなく、家族でも構いません。
ちなみに人と話す機会を確保できないのであれば、空き時間にすぐできる舌を使った体操もおすすめです。
こちらは口を閉じた状態で、舌を歯に沿って右回りに回し、右が終わったら左周りに回すということを10回程度繰り返す体操です。
室内の乾燥
唾液の分泌量が減少する理由としては、室内の乾燥も挙げられます。
例えば夏の暑い時期にエアコンをつけっ放しにしていると、室内は乾燥しやすくなりますし、冬の寒い時期はエアコンがなくても乾燥しやすいです。
このような環境で長い間過ごしていると、口呼吸をしやすくなる傾向にあり、唾液の分泌量は減ってしまいます。
そのため、換気を行ったり加湿器を使用したりして、部屋が乾燥しないようにしましょう。
またエアコンの効いた室内にいるときは、こまめに水分補給をすることも忘れないでください。
正常な大人の唾液の分泌量は、1日約1.5リットルと言われています。
つまり、それだけ水分を摂取しなければいけないということです。
特に、ダイエットなどで無理な食事や水分摂取の制限をしている方は注意が必要です。
まとめ
今回の記事のポイントは以下になります。
・口呼吸は口腔内の粘膜が空気に触れるため、唾液の分泌量が減少しやすくなる
・咀嚼回数が少ないと唾液腺が刺激されず、唾液の分泌量も増えない
・シェーグレン症候群や反復性耳下腺炎など、口内の病気が唾液の減少を引き起こすこともある
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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