小児に見られる“癒合歯”とはどのような症状なのか?

小児の歯に見られる症状の1つに、“癒合歯(ゆごうし)”というものがあります。
こちらは、歯の形態異常であり、放置することでさまざまなリスクが生まれるものです。
今回は、癒合歯の概要やリスク、歯科クリニックでの治療法などについて解説したいと思います。

癒合歯の概要

小児の歯に見られる癒合歯とは、隣り合う複数の歯がくっつく(癒合する)ことにより、1本の歯のように生える症状をいいます。
永久歯よりも、乳歯に見られることが多いです。

具体的には、下顎の乳側切歯と乳犬歯、下顎の乳中切歯と乳側切歯、上顎の乳側切歯と乳中切歯などがくっついてしまうものであり、小児自身や親御さんが気付かないこともよくあります。

また、こちらの症状は、基本的には自然に治ることがありません。

癒合歯の原因

癒合歯の原因は、主に母親の全身状態の異常、胎児へのウイルス感染、現代人の顎骨退化です。

明確な原因は定かではありませんが、母親の全身状態の異常と関連しているという報告があります。
例えば栄養失調や薬物の服用、疾患やビタミンAの過剰摂取などが該当します。

また胎児がウイルスに感染することにより、癒合歯が形成されるという説もあります。

さらに、現代人は古代人に比べて、明らかに顎が小さくなっています。
顎の骨が小さくなり、顎骨内で歯胚同士が接近しやすくなったことで、癒合歯ができやすくなったという説もあります。

癒合歯におけるリスク

小児の乳歯が癒合歯である場合、そのまま放置するとさまざまなリスクが高まります。

1つは、次に生えてくる永久歯に悪影響を及ぼすリスクです。
癒合歯がある場合、永久歯の本数が減少したり、サイズが通常よりも小さくなってしまったりする可能性が高くなります。

また、癒合歯があることで、スムーズに乳歯から永久歯へ歯が生え変わらないおそれもあります。
こちらは、永久歯の生え変わり時期に癒合歯がうまく吸収されず、自然に抜けるのが難しくなることが理由です。

その他、小児の癒合歯におけるリスクとしては、虫歯につながりやすくなることも挙げられます。

癒合している歯の境目には、通常の歯には見られない溝があります。
こちらにはプラークが溜まりやすく、しっかりとブラッシングをしていても、虫歯のリスクは高くなります。

永久歯の歯並びが悪くなるリスクもある

小児の乳歯における癒合歯は、永久歯にさまざまな影響を与えるという話をしましたが、こちらは永久歯の歯列不正にもつながります。

乳歯の癒合歯が抜けた後に永久歯が2本生えてくる場合、歯が生えるスペースが狭いがために、歯がねじれたり外側にはみ出したりすることがあります。

また生えてくる永久歯が1本である場合も、今度は永久歯の数が足りないことから、上下の歯の正中がずれることが考えられます。

さらに、スペースを埋めようと周りの歯が動いてしまい、永久歯の歯並びに影響が出るというケースも多いです。

癒合歯の治療法

小児の癒合歯に施す治療は、基本的にシーラントやフッ素の塗布といった、虫歯を予防するための治療のみです。
癒合している箇所を削って複数の歯にしたり、抜いたりすることはあまりありません。

また、矯正によって治療するかどうかも、基本的にはすべての永久歯が生え揃ってから判断することになります。

ただし、現在の癒合具合や永久歯の萌出状況、顎の成長度などに著しい問題が見られる場合は、早期に矯正治療を実施することも考えられます。

抜歯を検討するケースについて

小児の癒合歯は基本的に治療と経過観察で対応しますが、場合によっては抜歯を検討しなければいけません。
こちらは、癒合歯の根っこの吸収状態が悪い場合です。

癒合歯は生え変わりの時期に歯の根っこが吸収されず、通常の乳歯のようにグラグラと動揺しないことがあります。
そのため、歯科クリニックではまずレントゲンで根っこの状態をチェックします。

このとき、後から生えてくる永久歯がすぐ近くまで生えているにもかかわらず、吸収されない根っこがあることがわれば、癒合歯は揺れてくる可能性が低いです。
つまり自然な生え変わりが難しいことから、抜歯が必要になる可能性があるということです。

シーラントやフッ素塗布について

癒合歯に施すシーラントやフッ素塗布は、小児の予防歯科として非常にポピュラーなものです。

シーラントは、歯の溝をシーラント剤で埋め、虫歯を予防するという方法です。
溝が埋まって歯の表面が平らになれば、プラークが溜まりにくくなるため、虫歯もある程度予防できます。
またフッ素についても、歯の表面をガードしてくれる成分として有名です。
具体的には歯のエナメル質が溶け出してしまうのを防ぎ、さらに歯の表面を硬化させることで、虫歯に対する抵抗力を高めます。

ちなみに癒合歯は虫歯になりやすいことから、敵的に歯科クリニックで検診を受けることも大切です。
たとえフッ素やシーラントでケアできても、こちらの効果はあくまで一時的に過ぎません。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・隣り合う複数の歯がくっつく症状のことを癒合歯という

・小児の癒合歯は永久歯の生え変わりや形状に悪影響を及ぼす場合がある

・小児の癒合歯は虫歯のリスクを高めるおそれがある

・癒合歯の治療は主に虫歯予防のためのもので、場合によっては矯正を行う

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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