歯がエナメル質を失うことの原因と悪影響について

“エナメル質”とは、歯の一番外側を覆っている硬い層のことをいいます。
また、こちらは人間の身体の中でもっとも硬い組織とされていますが、何らかの原因によって失われてしまうこともあります。
今回は、歯がエナメル質を失うことの原因とその悪影響について解説したいと思います。

歯がエナメル質を失う主な原因

歯がエナメル質を失う代表的な原因としては、虫歯や酸蝕歯が挙げられます。

口内に虫歯菌が増えると、酸が多く生成され、歯の表面にあるエナメル質を溶かしてしまいます。
虫歯を発症していない場合でも、酸の強い柑橘類などを多く食べたり、口内ケアを十分に行わなかったりした場合、酸によってエナメル質が失われることは十分にあります。

また、日常生活における行動によっても、歯はエナメル質を失うことが考えられます。

例えば、起きているとき、寝ているときに関わらず歯ぎしりや食いしばりをしている方、歯磨きの際に力を入れすぎている方などは、歯の表面が削られ、必然的にエナメル質を減少させてしまうため、注意しなければいけません。

逆流性食道炎が原因になることも

逆流性食道炎を患ったことが原因で、歯のエナメル質が溶けてしまうケースもあります。

逆流性食道炎は、胃酸などの胃の内容物が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を起こす疾患です。
胸やけ、酸っぱいものがこみ上げる、喉の違和感などの症状が特徴です。

食生活の欧米化などで近年患者数は増加していて、肥満やストレス、飲酒や喫煙などが原因で起こりやすいです。

また逆流性食道炎により、酸の強い胃酸が口内に入ってくると、そちらが歯のエナメル質を溶かしてしまうことがあります。

ちなみに、逆流性食道炎を放置すると食道がんのリスクにつながる可能性もあるため、早期治療が重要です。

その他の原因

歯のエナメル質を溶かしてしまうその他の原因としては、まず加齢が挙げられます。

人は年齢を重ねれば重ねるほど、自身の天然歯を使用する機会が増えます。
そのため、エナメル質は徐々に磨耗して薄くなっていきます。

また、エナメル質形成不全が原因のケースも稀に見られます。
エナメル質形成不全は、遺伝や乳幼児期の栄養不足や疾患などが原因で、生まれつきエナメル質が十分につくられない疾患です。
こちらは子どもでも十分起こり得る症状のため、注意が必要です。

ちなみに、妊娠している方も歯のエナメル質が溶けるリスクは高いです。
なぜなら、悪阻や摂食障害による嘔吐のリスクがあるからです。

頻繁に嘔吐することにより、内容物が歯に触れる機会も多くなり、その都度エナメル質を溶かす可能性が高まってしまいます。

歯がエナメル質を失うことによる悪影響

歯がエナメル質を失うと、虫歯を発症する可能性が高くなります。

一般的に、虫歯は歯の表面から進行するものですが、十分なエナメル質を持っていれば、簡単には内部まで虫歯菌が入り込みません。
そのため、丁寧なブラッシングなどで早めのケアをしていれば、初期段階で虫歯菌を退けることが可能です。

しかし、すでに多くのエナメル質を失っている場合、短期間で歯の内部まで虫歯菌が侵入するため、虫歯のリスクは確実に上昇します。

また、歯がエナメル質を失うことの悪影響としては、知覚過敏の発症も挙げられます。
こちらは、エナメル質が薄いことにより、歯の内部にある象牙質に刺激が伝わりやすくなることが理由です。

その他、見た目が悪くなってしまうことも、歯がエナメル質を失うことによる悪影響の1つです。

エナメル質は透明に近い白色ですが、一方で象牙質は黄色っぽい色をしています。
つまり、エナメル質の量が減少すればするほど、象牙質の色が透けて、歯が黄色っぽく見えてしまうということです。

歯の質感が変わってしまうこともデメリット

歯のエナメル質を失うと、歯の質感も変わってしまいます。

天然歯は、通常光沢があり、ワックスをかけたような見た目をしています。
しかしエナメル質が溶けてしまうと、歯の表面の輝きが失われ、マットな質感になります。

このような見た目の歯は、前述した黄色く変色した歯と同様、決して美しいとは言えません。
天然歯の強みは、機能性が高いだけでなく審美性も良いところであるため、歯のエナメル質が溶けると長所を一つ失ってしまいます。

構造的に脆くなってしまうという問題もある

歯のエナメル質を失った場合、天然歯が構造的に脆くなってしまうという問題も生じます。

エナメル質は歯を保護する役割のある硬い組織です。
こちらの保護がなくなることにより、咀嚼時の力や歯ぎしり・食いしばりなどによって、歯が簡単に欠けたりヒビが入ったりするようになります。

また歯が脆くなると、噛み合わせの面が平らになり、歯が短くなるなどの変形も進みやすくなります。
歯の変形は、当然噛み合わせを悪化させますし、歯並びを悪化させて歯列全体の見た目を悪くすることにもつながります。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・エナメル質は歯の一番外側を覆っている硬い層

・歯がエナメル質を代表的な原因は虫歯や酸蝕歯

・慢性的な歯ぎしりや食いしばりによっても、エナメル質は失われる

・歯がエナメル質を失うと、虫歯や知覚過敏のリスクが高くなる

・エナメル質が減少すると、象牙質が透けて歯が黄色く見えやすい

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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