今年も早いもので12月を迎え、全国各地で冬の訪れを感じさせる寒い日も増えています。
また、毎年このような寒い時期に限って、歯が痛くなるという方もいるかと思います。
では、寒い時期にのみ歯の痛みが出るのは、一体なぜなのでしょうか?
考えられる主な理由について解説します。
食いしばり
寒い時期に歯が痛くなる原因としては、まず食いしばりによる筋肉痛が挙げられます。
冬場の厳しい寒さに耐えるとき、人は無意識に歯を食いしばっています。
特に、就寝中は食いしばりが起こりやすく、こちらが慢性化すると、顎付近の筋肉は常に緊張した状態となり、朝起きたときに強い歯の痛みが発生します。
また、食いしばりは歯の痛みだけでなく、以下のような症状にもつながるため、思い当たる節がある方は、早急に歯科クリニックに相談しなければいけません。
・歯の欠損、亀裂、破折
・歯のグラグラ
・歯周病(歯肉炎、歯槽膿漏)
・顎関節症
・知覚過敏
・肩こり など
温度差
冬の寒い時期は、温暖差によって歯の痛みが出ることもあります。
例えば、寒い屋外で温かい飲み物を飲んだときなどは、歯の神経が感じる温度に大きな差が生まれるため、痛みを覚えやすくなります。
また、知覚過敏と言えば、冷たい食べ物や飲み物がしみるイメージが強いですが、温かい飲み物を飲んだ後、寒い屋外に出ると、外気や風の冷たさで歯が痛むこともあります。
このような歯の痛みは、マスクをしたり、口元を覆うようにマフラーをしたりすることで、ある程度改善されます。
乾燥
寒い時期は空気が乾いているため、必然的に口内も乾燥しやすくなります。
また、常に口内が乾燥し、唾液の分泌量が不足すると、虫歯を発症しやすくなり、こちらが歯の痛みにつながることもあります。
そのため、冬場は口内が乾燥しないよう、意識して唾液の分泌を促進させなければいけません。
具体的には、以下のような対策を取るべきです。
・室内では常に加湿器を稼働させる
・唾液の分泌効果がある食べ物を摂取する(レモン、お酢、梅干しなど)
・1日1~2リットルの水を摂取する
・ストレスや過度の緊張に注意する
・キシリトール配合のガムを噛む など
風邪による副鼻腔炎
寒い日に歯が痛くなる原因としては、風邪による副鼻腔炎も挙げられます。
寒くなってくると、風邪などのウイルス性疾患にかかりやすくなります。
特に鼻風邪を引くと、鼻とつながっている副鼻腔にも炎症を起こすケースがあります。
副鼻腔の一つである上顎洞に炎症がある場合、上顎洞は上の奥歯の歯根に近いため、炎症や痛みが伝わってしまうおそれがあります。
また、風邪から来る副鼻腔炎かどうかは自己判断が難しいため、まずは歯科クリニックでレントゲンを撮りましょう。
歯は悪くないことを確認した上で、もし副鼻腔炎が問題なのであれば、耳鼻科などで治療を受ける必要があります。
歯茎の血行不良
寒い時期に歯が痛くなる場合、歯茎の血行不良が原因の可能性もあります。
歯を支えている歯茎は身体の末端にあり、無数の毛細血管があります。
そのため、冷えによって歯茎の血行不良が起こると、歯茎の免疫力が低下します。
また健康時は免疫機能が働き、歯周病菌を抑え込むことができますが、免疫力が下がると歯周病菌が悪さをし始めます。
その結果、歯茎が下がって象牙質が露出し、神経が刺激されて歯の痛みにつながることがあります。
歯茎の血行不良を起こさないようにするには、なるべく身体を温めるのが大切です。
身体を温かく保つことで血流が改善し、歯や歯茎への血行不良を防ぎます。
具体的には暖かい服装を心掛け、温かい飲み物を摂るようにしましょう。
被せ物や詰め物の冷え
被せ物や詰め物の冷えも、寒い時期に歯が痛くなる原因の一つです。
過去に虫歯治療を行ったことがある方は、口内に被せ物や詰め物が装着されています。
こちらが金属でできている場合、温度差によって神経が残っている歯は痛みが現れやすくなります。
またエナメル質と同じように、歯の一部を守るように修復している素材は、歯の神経に近い位置にセットされていることがあります。
そのため修復している材料が冷えると、神経に近い位置を冷たさが伝わり、痛みとして認識してしまいます。
日頃の生活において、被せ物や詰め物が必須の方は、このような歯の痛みを回避するのが難しいです。
それでも、調整などの対応をしてもらえる可能性があるため、一度歯科クリニックには相談すべきです。
寒い時期は転倒のリスクも高まるので注意
寒い時期はさまざまな理由で歯が痛くなりますが、転倒のリスクが高まることから、歯が割れたり折れたりする可能性もあるため注意しましょう。
特にマンホールや横断歩道の上などは、ツルツルしていて滑りやすいです。
また、歯の破折は当然痛みもありますし、何よりも歯の寿命を縮める原因になります。
そのため、滑り止めがついた冬用の靴を履いたり、歩き方に気を付けたりすることが大切です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・寒い時期には、食いしばりによる筋肉痛で歯が痛くなることがある
・食いしばりは歯の痛みだけでなく、歯の欠損や歯周病、顎関節症などにもつながる
・寒い時期は温度差による歯の痛みが発生することもある
・寒い時期は口内が乾燥し、唾液の自浄作用が弱くなることで虫歯を発症しやすい
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
患者様のことを最優先に考えた、オーダーメイドの治療プログラムで対応させて頂きます。