通常、隣り合う歯同士の間隔はほとんどありませんが、場合によってはかなり隙間が空いてしまうこともあります。
こちらはいわゆる“すきっ歯”という症状であり、正式名称は“空隙歯列”といいます。
今回は、すきっ歯の原因や、矯正せずに放置することのデメリットについて解説したいと思います。
すきっ歯の概要
すきっ歯は正式には空隙歯列と呼ばれるもので、歯と歯の間に隙間ができている状態です。
乳歯と永久歯が混在する時期に生じやすく、すべての歯が永久歯に生え変わると、隙間がなくなることも珍しくありません。
ただし、成長しても隙間が埋まらないケースも多々あります。
特に真ん中の歯に3mm以上隙間があるケースや、犬歯が生えた後も隙間が埋まらないケースでは、治療を受けなければいけない可能性が高いです。
すきっ歯の主な原因
すきっ歯になる原因はさまざまですが、代表的なところでいうと以下のことが挙げられます。
・顎が大きい
・歯が小さい
・指をしゃぶる癖があった
・舌が大きい
・歯の本数が少ない など
人より顎のサイズが大きい方は、正常な歯が生え揃っていても、口内のスペースを持て余してしまうため、すきっ歯になりやすいです。
逆に、顎の大きさが一般的であっても、歯1本1本のサイズが小さかったり、本来生えてくるはずの本数が生えてこなかったりした場合も、スペースは余ってしまいます。
また、幼い頃によく指をしゃぶっていたという方は、少しずつ顎の骨を押し広げ、歯の隙間を作ってしまっている可能性もあります。
ちなみに、上記のような悪癖がなかった方であっても、舌のサイズが大きいと、しっかり歯の内側に収まらず、歯や顎の骨を押し広げてしまうことがあります。
上唇小帯も原因の一つ
すきっ歯の原因としては、上唇小帯も挙げられます。
上唇小帯は、前歯の上側歯茎の中央にあるスジです。
上の前歯と前歯の間に上唇小帯が入り込むことにより、すきっ歯になる可能性があります。
乳幼児期には上唇小帯が太く、顎が成長していくにつれて上唇小帯が上の方に移動します。
このように移動することで、前歯のすきっ歯も自然と治っていくことが多いため、乳幼児期にはそれほど心配する必要はありません。
一方、成長してからも上唇小帯が前歯の間に挟まっている場合は、切除しなければいけない可能性があります。
また切除後は自然とすきっ歯が治っていくことがありますが、歯全体の噛み合わせを確認しながら、必要に応じて矯正治療で歯の隙間を狭くしていくのが一般的です。
すきっ歯を放置することのデメリット
すきっ歯を矯正せずに放置すると、まず食事に大きな影響を及ぼします。
歯と歯の間に隙間があることで、ものが噛み切れなかったり、口内ですり潰せず飲み込めなかったりする可能性があります。
また、すきっ歯の場合、歯と歯の隙間から空気が抜け、発音に支障が出ることも考えられます。
こちらは、どのような属性の方にとっても、大きなデメリットだと言えます。
その他、虫歯や歯周病のリスクが上昇することも、すきっ歯を放置するデメリットの1つです。
歯と歯の隙間が広いということは、それだけ食べカスが詰まりやすいということであり、汚れが蓄積された部分から、虫歯や歯周病に発展することは十分に考えられます。
ちなみに、すきっ歯は見た目のイメージにも影響を与えます。
歯と歯の間に隙間があることを見られたくないがあまり、笑顔が少なくなったり、人と接するのを避けたりして、精神的な苦痛を味わう可能性もあります。
身体に不調が出ることも
すきっ歯を放置すると、身体に不調が出る可能性もあります。
なぜなら、前述のように噛み合わせが悪くなるからです。
噛み合わせが悪いと、食べ物を噛み砕くのが難しくなります。
十分に噛み砕くことなく飲み込んでしまうと、食べ物の消化に時間がかかるため、胃腸の負担が大きくなります。
また消化不良になってしまい、腹痛や下痢が起こるケースも珍しくありません。
腹痛や下痢になると、栄養を十分に吸収できないため、体調を崩すことも考えられます。
さらに、噛み合わせが悪いと顎周りの筋肉に負担がかかり、肩こりや頭痛につながる可能性もあります。
すきっ歯の矯正方法
すきっ歯は主にワイヤー矯正、マウスピース矯正のいずれかで矯正します。
ワイヤー矯正は、ブラケットという器具を歯の表面に付着させ、ブラケットの間にワイヤーを通す矯正方法です。
少しずつ歯を移動させて隙間を埋めていくため、健康な歯を傷付けることなく、自身の天然歯を最大限に活かすことができます。
また、マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピース型矯正装置を用いて行う矯正治療です。
ワイヤー矯正と同様に、歯を少しずつ移動させることで、前歯の隙間を埋めていきます。
このとき使用する透明な矯正器具は、子どもの自身での脱着が可能ですし、周りから見ても装着していることがそれほど目立ちません。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・すきっ歯は顎が大きかったり、歯が小さかったりすることが原因で起こる
・子どものころに指をしゃぶっていたことも、すきっ歯になる原因の1つ
・すきっ歯を放置すると、食事や発音、見た目に大きな影響が出る
・すきっ歯が原因で虫歯や歯周病を発症することもある
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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