「道で転倒し、歯が折れてしまった」「硬いものを食べたときに、歯の一部が欠けてしまった」
このようなトラブルに見舞われた時、正しくスピーディーに対処できないと、大変なことになります。
今回は、歯が折れたり欠けたりした時の、間違った対処法について解説しましょう。
そのまま放置する
何かしらの理由で歯が折れたり欠けたりしても、あまり痛みを感じないというケースがあります。
例えば、歯の神経を治療した後などは、ほとんど痛みが発生しません。
しかし、このような場合でも、必ず放置せず歯科クリニックで治療しましょう。
欠損したまま生活していると、以下のようなデメリットが生じます。
・隙間に食べカスが詰まる
・食事等でさらに歯が欠けるおそれがある
・虫歯のリスクが高まる
・欠けて尖った部分で口内を傷つけるおそれがある など
折れたり欠けたりした歯を治さずに放置することで、これまでにはなかった痛みや他の症状が出てくる可能性があるため、注意が必要です。
折れたもしくは欠けた歯をティッシュで包む
歯が折れたり欠けたりしたときには、とっさに歯をティッシュで包んで保管するという方も少なくありませんが、こちらは間違った対処法です。
歯と歯茎の間には、歯根膜という組織が存在しますが、こちらが乾燥してしまうと、たとえ歯を歯科クリニックに持っていったとしても、簡単には修復できません。
ティッシュで包むことには、こちらの乾燥を早めてしまうおそれがあるからです。
逆に、おすすめの保管方法としては、牛乳に漬ける方法が挙げられます。
牛乳は、歯の破片の乾燥を防止するだけでなく、口内に近いpHを備えているため、歯根膜を正常な状態のまま生かしてくれます。
保存液を使用できればベスト
折れたり欠けたりした歯は、保存液で保管することができればベストです。
保存液に浸けておけば、歯根膜を死滅させることなく保存でき、歯を元の位置に戻す再植ができる可能性が高まります。
しかし急に歯の損傷があった場合、インターネットなどで保存液を購入している時間はありません。
もし手元にないという場合は、前述した牛乳のほか、コンタクトレンズの保存液を使用するのがおすすめです。
コンタクトレンズの保存液であれば、コンビニやドラッグストアなどでも簡単に購入できます。
ちなみに、一切何も用意できないという場合は、最終手段として口の中で飲み込まないように保存し続けるという方法もあります。
歯の欠片を擦るように洗う
歯の欠片を擦るように洗うことも、歯が折れたり欠けたりしたときの対処法としては間違っているため、注意しましょう。
歯をできるだけキレイに保管しておきたいという気持ちはわかりますが、ゴシゴシと擦りながら洗ってしまうと、先ほども解説した歯根膜が削り落とされてしまいます。
もし、砂などが付着しているのであれば、流水で軽く洗い流す程度にとどめておきましょう。
同様の理由で、口内を擦るように洗うこともおすすめできません。
自力で歯をくっつける
どれだけ緊急を要する場合でも、折れたり欠けたりした歯を自力でくっつけるのはNGです。
特に、接着剤を使用してくっつけるのはもってのほかです。
市販されている一般的な接着剤は、木材やプラスチックなどに使用するものであり、歯科用の接着剤とはまったくの別物です。
そのため、当然歯には適合しませんし、口内で使用することについての安全性も確保されていません。
また仮に接着剤で歯がくっついたとしても、歯科医師による適切な検査や処置がないことから、後々トラブルが生じる可能性は高くなります。
具体的には感染による炎症や破折が発生し、最悪の場合抜歯しなければいけないことも考えられます。
欠けたり折れたりした部分を触る
歯が欠けたり折れたりすると、痛みや腫れが生じる可能性があります。
このような状態の歯はとても気になるかと思いますが、むやみに舌や手で触るのは控えましょう。
舌で触ることにより、汚れやプラークを患部の中に押し込んでしまい、さらなる炎症につながるおそれがあります。
また手で触れてしまうと、細菌感染のリスクも高まります。
細菌感染が起こると、歯の寿命が短くなったり、歯を支えている骨の吸収が始まったりすることが考えられます。
さらに、顎の痛みや頭痛にまで発展する可能性もゼロではありません。
歯の破折や欠損があったときの治療法
歯が欠けたり折れたりした場合、保険診療もしくは自由診療の治療で治すことになります。
保険診療の治療としては、主にコンポレットレジン修復や硬質レジン前装冠などが挙げられます。
また自由診療の治療には、破損片の接着修復やラミネートベニア、セラミッククラウンやインプラントなどがあります。
保険診療の治療は費用が安い反面、自然な仕上がりが難しく、素材の劣化も起こりやすくなります。
これに対し自由診療の治療は、長期にわたり美しい状態を保てる可能性が高いですが、治療費は高額になりやすいです。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・痛みがなかったとしても、折れたり欠けたりした歯を放置してはいけない
・折れた歯をティッシュで包んで保管するのは間違った対処法
・歯根膜を保護するために、歯の欠片は牛乳に漬けて保管すると良い
・歯の欠片を擦るように洗うのもNG
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
患者様のことを最優先に考えた、オーダーメイドの治療プログラムで対応させて頂きます。