“口内のケア”と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはもちろん歯磨きです。
ただし、より口内環境を良くするためには、歯だけでなく舌も綺麗に磨かなければいけません。
今回は舌磨きのポイントと、それを実施するメリットをあわせて解説しますので、この機会に習慣づけるようにしましょう。
舌磨きをする際に押さえておきたいポイント
舌の表面は通常薄い白色ですが、こちらが真っ白だったり、茶色かったりする場合は、汚れが付着しています。
こちらの汚れは“舌苔(ぜったい)”と呼ばれるもので、虫歯菌や歯周病菌、食べカスなどが混ざったものです。
舌磨きは、舌苔を落とすために行うものですが、ポイントとしては、まず“1日に何度も行わない”ということが挙げられます。
1日に何度も舌を擦ると、粘膜や味を感じる味蕾を傷つけてしまうおそれがあるため、舌磨きは朝の1回だけにしておきましょう。
そして、磨く道具には歯ブラシではなく、専用の舌ブラシとクリーニングジェルを使用します。
ドラッグストアなどで簡単に手に入るため、舌磨きを行う際は必ず用意しましょう。
舌の磨き方における細かいポイントとしては、舌ブラシを奥から手前に動かすことを意識してください。
手前から奥に動かしたり、前後に往復させたりすると、舌苔内にある細菌を喉の奥に押し込んでしまう可能性があるため、注意が必要です。
ちなみに、舌を磨いていると、無意識にえずいてしまうことがあります。
こちらを“嘔吐反射”といいますが、もしこのようになってしまったら、舌を思いっきり前に突き出して対処しましょう。
その他のポイント
舌磨きにおけるその他のポイントとしては、舌ブラシを使用するとき事前に濡らしておくということが挙げられます。
乾いた状態で舌ブラシを使用すると、舌を痛めやすく、不快感が強くなるおそれがあります。
歯ブラシの場合、事前に濡らすと歯磨き粉が泡立ちすぎてしまうためよくありませんが、舌ブラシ歯歯磨き粉を使用しないため、濡らしても問題ありません。
また磨き終わった後は、浮き上がった汚れを洗い流すために、しっかりと水で口をすすぎましょう。
舌磨きのメリット
舌磨きを行うことで、歯磨きの効果は出やすくなります。
舌苔が付いたまま歯磨きをすると、その最中に舌の細菌が歯の表面に付いてしまうリスクがあるからです。
その他、口臭を予防できるところも、舌磨きのメリットと言えます。
口臭の原因菌は、そのほとんどが舌苔に存在しているため、こちらが残っている以上、いくら歯磨きをしても口臭は改善されません。
ちなみに、舌磨きを実施することで、唾液や食べ物などと一緒に細菌が気道、肺に入ってしまう“誤嚥性肺炎”のリスクも軽減させることができます。
その他のメリット
舌磨きにおけるその他のメリットとしては、まず味覚の正常化が挙げられます。
舌苔が厚く付着すると、味を感じ取る器官である味蕾が覆われてしまい、味覚が鈍くなったり味を感じにくくなったりすることがあります。
舌磨きによって絶対を除去すれば、味覚が鮮明になり、食事をより楽しめるようになります。
また舌磨きを通じて口腔内の衛生状態を向上させることは、間接的に全身の健康にも良い影響を与えます。
例えば、腸内環境の改善につながる可能性が指摘されています。
もちろん、舌磨きによって口内全体のケア意識が高まり、歯間ブラシの使用など他のオーラルケアの質も向上する傾向があります。
舌ブラシの選び方について
舌ブラシを選ぶ際は、形状や素材などをチェックします。
舌ブラシは主に、ブラシタイプと舌ヘラタイプがあります。
ブラシタイプは、舌の入り込んだ汚れをかき出すのに適していて、舌ヘラタイプは全体的に舌苔を取り除く効果が高いとされる形状です。
また素材については、ナイロンやシリコン、ステンレスなどがあります。
主にブラシ対応に使用されるナイロンは、毛先がやわらかい製品が多く、舌に与えるダメージが少ないです。
シリコン製は特にやわらかく、軽い力で舌苔を除去できますが、耐久性は低めです。
ステンレスは耐久性が高いですが、他の素材に比べると多少舌を傷つけるリスクが高まります。
その他のチェックポイントとしては、持ち手の長さが挙げられます。
口の奥まで届きやすく操作しやすいように、舌ブラシはある程度持ち手の長さがあるものを選ぶべきです。
ちなみに、舌磨き専用のジェルについては、配合成分や刺激の少なさ、フレーバーなどをチェックして選びます。
舌苔除去成分や殺菌・口臭予防成分、保湿成分などが含まれているジェルは、適切な舌磨きをサポートしてくれます。
さらに研磨剤が含まれていないもの、アルコール無添加のものなどは、デリケートな舌を傷つけるリスクが低いです。
フレーバーについては、毎日舌磨きを続けられるよう、好みに合ったものを選びましょう。
爽快感のあるミント系や、甘みのあるフルーツ系などがあります。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・舌の汚れは“舌苔(ぜったい)”といい、虫歯菌や歯周病菌、食べカスなどが混ざって形成される
・舌磨きは1日に1回だけ実施するのがポイント
・舌磨きを行う際は、舌ブラシを奥から手前に動かすことを意識する
・舌磨きを実施することで歯磨きの効果はアップし、口臭や誤嚥性肺炎の予防にもなる
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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