「その時のセール品だった」「取りやすい位置に陳列してあった」など、特にこだわりもなく歯ブラシを選んでいる方は、案外と多いものです。
しかし、このような選び方をすると、虫歯予防を期待できない可能性があるのです。
今回は中でも、高齢者の方におすすめの歯ブラシの特徴を解説します。
該当する方は、ぜひチェックしてみてください。
毛が柔らかいもの
高齢者の方は、できるだけ毛の部分が柔らかい歯ブラシを選びましょう。
なぜなら、高齢になると、歯のエナメル質が少なくなるからです。
エナメル質は、非常に硬い組織であり、熱いものや冷たいものが歯の内部に触れないよう、外側から守ってくれています。
しかし、こちらが少なくなると、歯ブラシが当たったときに歯が傷ついてしまいます。
このような状態が継続すると、歯と歯肉が著しくすり減ったり、肥大したりすることも考えられるため、なるべく毛の柔らかい歯ブラシで優しく丁寧に磨きましょう。
ヘッドが小さなもの
高齢者の方は、なるべくヘッドが小さな歯ブラシを使用しましょう。
高齢者の方の中には、以前より口を大きく開けるのが困難になっている方も多くいます。
そのような場合、ヘッドが大きめの歯ブラシを使用すると、思うように口の中に入りません。
なんとか入ったとしても、奥歯やその裏側などまで、しっかりと磨くのは難しいです。
一方で、ヘッド部分が小さければ、比較的スムーズに口内に入ります。
ただし、ヘッド部分が小さい場合、一度に広範囲を磨くことはできないため、磨き残しをなくすためには、ある程度時間をかける必要があります。
柄の形状が真っ直ぐのもの
高齢者の方は、できるだけ柄の形状が真っ直ぐな歯ブラシを選びましょう。
歯ブラシの柄の形状は、メーカーによってさまざまです。
最近は、カーブや突起が付いているものもありますが、このようなタイプを高齢者の方が使用する場合、少し持ちにくいと感じることがあります。
一方で、柄が真っ直ぐな歯ブラシは非常に持ちやすく、磨きたい部分にしっかりと毛先が届きます。
ちなみに、高齢者の方の中には、握力が低下し始めている方もいるかと思いますが、そのような方はしっかりと力が伝わるよう、柄が太めの歯ブラシを選びましょう。
毛先が平らなもの
先ほど、高齢者の方は毛先がやわらかい歯ブラシを使用するべきだという話をしました。
毛先に関することでいうと、平らになっているタイプもおすすめです。
歯ブラシの毛先には、フラット型と呼ばれる平らなものと、山型と呼ばれるギザギザになっているものがあります。
山型の毛先は、歯の形状によくフィットする印象ですが、実際は毛先がすぐに寝てしまいます。
そのため、うまく食べカスやプラークをかき出せないことも多いです。
一方フラット型の毛先は、しっかりと汚れを除去しやすいため、高齢で歯の一部を失っている方などでも使いやすいです。
歯ブラシの植毛パターンについて
高齢者の方が歯ブラシを選ぶときは、毛先の植毛パターンもチェックしましょう。
こちらについては、どのような効果を期待するのかによって適したタイプが変わってきます。
まず毛先の植毛が1~2列のものについては、溝や歯間など細かい部分を徹底的に清掃したい方におすすめです。
また食べカスやプラーク除去に重点を置く場合は3列、歯茎のマッサージに重点を置く場合は多数列の歯ブラシを選択しましょう。
たとえ高齢で歯を失った数が多かったとしても、歯の根っこが残っている箇所にはブラッシングが必要です。
もちろん、磨く場所や目的に合わせて、使用する歯ブラシを使い分けても構いません。
電動歯ブラシの使用も検討すべき
高齢者の方は、手動の歯ブラシだけでなく、電動歯ブラシの使用も検討すべきです。
特に筋力が衰えている方や、手の自由が効きにくく手動の歯ブラシが使いにくい方などにとって、電動歯ブラシは大きなサポートアイテムになります。
電動歯ブラシは、手動の歯ブラシのように手を何度も動かす必要がありません。
振動や回転で効率良く汚れを落とすことができ、先ほども解説した歯茎のマッサージ効果も期待できます。
歯磨き粉の選び方について
歯ブラシだけでなく、歯磨き粉選びについても、高齢者の方はこだわるべきです。
高齢者の方に向いているのは、研磨剤や発泡剤が少なく、なおかつフッ素配合のものや知覚過敏を抑えるものです。
高齢者の方の場合、歯の根元が露出していることが多いため、磨耗のリスクを避けるためにも研磨剤は使用しない方が良いです。
また発泡剤が多すぎるものは、泡立ちが良すぎて磨き残しが出やすかったり、口内の乾燥を招いたりするため、こちらも避けるべきです。
一方フッ素配合の歯磨き粉は、歯の再石灰化を促進するため、唾液の分泌量が少なく虫歯になりやすい高齢者の方にはピッタリと言えます。
さらに、知覚過敏の症状がある方は、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムといった知覚過敏を抑える成分が含まれた歯磨き粉を選びましょう。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下の通りです。
・高齢者の方はエナメル質が減少しているため、なるべく毛先が柔らかい歯ブラシを選ぶべき
・口を大きく開けるのが困難な方には、ヘッド部分が小さめの歯ブラシがおすすめ
・高齢者の方は、柄の形状が真っ直ぐの歯ブラシの方が磨きやすい
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
患者様のことを最優先に考えた、オーダーメイドの治療プログラムで対応させて頂きます。