夜に虫歯の痛みが強くなりやすい理由について解説します

虫歯になると、食べ物を噛んだ時、または飲み物を飲んだ時に強い痛みを感じられますが、夜になると食事をしていなくても虫歯が痛むことがあります。
場合によっては、痛みがひどくてなかなか寝付けないということもあります。
これは何故でしょうか。
今回は、虫歯が夜に痛む理由について解説しましょう。

血液が頭に流れる

夜に虫歯が痛みやすくなる理由としては、まず血液が頭に流れることが挙げられます。

多くの方は、夜の時間帯に就寝しますが、このときベッドや敷布団、ソファなどで横になると、血液が頭に流れ、血管が拡張します。
血管が拡張することで、神経が圧迫され、痛みを感じやすくなってしまうという仕組みです。

ちなみに、普段日中活動しているときは、血液が身体の上から下に流れていくため、夜の時間帯ほど虫歯の痛みを感じません。

副交感神経の影響

夜に虫歯の痛みを感じやすくなる理由には、副交感神経が優位になることも挙げられます。

人間の身体は、自律神経との関係が深い交感神経、副交感神経により、血圧や体温などを調節しています。
夜の時間帯は、多くの方が疲れた身体を癒すため、ゆっくり時間をかけて入浴をしたり、飲酒をしたりと、リラックスした時間を過ごすことから、副交感神経が優位になり、血流が良くなります。

こちらが原因で、歯の神経が圧迫され、通常よりも強い痛みを感じてしまう可能性もゼロではありません。

ストレッチによる血行の促進

夜寝る前、リビングや寝室などでストレッチをするのが日課という方もいるかと思いますが、こちらも虫歯の痛みにつながる行動です。
こちらも血行を良くする効果があるからです。

ストレッチは筋肉をのばし、関節の可動域を広げることで、血流を改善するというものです。
筋肉や関節の柔軟性が向上すると、血管に圧力がかかりやすくなり、血液がスムーズに流れるようになります。

しかし血行が良くなると、血管が拡張して拍動痛を生じる可能性が高くなります。
ちなみに、血管の拡張によって生じる拍動痛は、片頭痛を生じさせることも多いです。

歯ぎしりや食いしばりの影響

夜間に歯ぎしりや食いしばりや食いしばりをしている方も、虫歯の部分に圧がかかり、虫歯の痛みを増幅させてしまうことがあります。

就寝中の歯ぎしりや食いしばりは無意識であるため、なかなか行っている本人は気付けません。
しかしこれらの行動は、歯に数百kgもの力をかけることにつながり、虫歯がある方にとっては非常に危険です。
普段食事をするときの咬合力が40～60kg程度であることを考えても、いかに過剰な力がかかっているかがわかります。

また歯ぎしりや食いしばりにより、歯茎の周辺に炎症を起こし、痛みを引き起こすこともあります。
こちらは咬合性外傷というものであり、虫歯の痛みとはまた違うものですが、瞬間的に強烈な痛みを生じさせます。

夜に虫歯が痛むときの対処法

夜に虫歯が痛くてたまらないときには、とりあえず身近なもので患部を冷やしましょう。
ビニール袋などに氷を入れ、頬に当てると、少しずつ血流が緩やかになり、耐えられないほどの痛みからは逃れられます。

その他、“ロキソプロフェン”という鎮痛成分が含まれている鎮痛剤を飲むことでも、一時的に痛みを軽減させることが可能です。
特に、使用用途に“歯の痛み”と記載されているものは、効果が期待できます。

ちなみに、口内に直接氷を入れ、患部を中から冷やすという方もいますが、こちらは少しリスクがあるため、できるだけ控えましょう。
虫歯がある場合、氷が歯に当たってしまうと、かえって痛みが強くなることが考えられます。

身体を起こしてみるのもおすすめ

夜になかなか虫歯の痛みが引かないという場合、一度寝ている身体を起こしてみるのもおすすめです。

前述したように、夜間の歯痛は頭部への血流が増大したことで引き起こされるケースがあります。
そのため一旦身体を起こすことにより、血液が下の方に降りていき、痛みが落ち着く可能性があります。

また痛み止めなどで痛みが少しマシになり、眠ることができそうな場合でも、いつもより枕を少し高くして横になりましょう。
こうすることで、再び歯が痛くなって起きてしまうことを防止しやすいです。

どうしても痛みに耐えられない場合は?

耐えがたいほど歯の激痛が続き、どうしても耐えられないというのであれば、それは救急の症状である可能性が高いです。
つまり虫歯以外の症状が原因だということです。
そのため、夜間救急外来の受診を検討しましょう。

夜間救急外来は、通常の診療時間外にも患者さんの診察や治療を行う施設であり、症状の急性度や痛みの強さに応じて即時に対応してもらえます。

ただし、救急外来で行われるのはあくまで応急処置です。
後日、かかりつけの歯科クリニックを受診しなければ、根本から原因を排除することはできません。

また夜間の場合、治療費は高額になるケースもあるため、まずは前述したような応急処置を行うようにしましょう。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・就寝時には頭に血液が流れるため、神経が圧迫され、虫歯の痛みを感じやすくなる

・夜はリラックスしている人が多く、副交感神経が優位になるため、虫歯の痛みを感じやすい

・夜に虫歯が痛む場合は、まず患部を氷で冷やす

・ロキソプロフェン配合の鎮痛剤は特におすすめ

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!