歯医者で虫歯の治療や抜歯をする際は、必ず麻酔を行います。
こちらがなければ、患者様は強い痛みに襲われるため、いきなり治療するということはまずありません。
今回は、歯医者での虫歯治療で実施される麻酔のタイプと特徴について解説しますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。
表面麻酔法
麻酔薬を歯茎に塗布し、表面の感覚を麻痺させる方法を“表面麻酔法”といいます。
虫歯治療の痛みを和らげるのが麻酔の目的ですが、こちらをいきなり歯茎に注射すると、当然痛みを伴います。
表面麻酔法は、“針を刺す痛み”を和らげるものであるため、実施することで患者様に負担をかけず、注射による麻酔を実施できます。
よって、虫歯治療の麻酔が、表面麻酔法だけで終了するということは基本的にありません。
ちなみに、歯石のクリーニングなど、注射をするほどではないものの、わずかに痛みを伴う施術の場合は、表面麻酔法のみが用いられることもあります。
浸潤麻酔法
治療する歯周辺の歯茎に対し、注射によって麻酔を施す方法を“浸潤麻酔法”といいます。
虫歯治療の痛みを和らげるものであるため、もっともポピュラーな麻酔といっても過言ではありません。
多くの患者様は、こちらの麻酔に対して「怖い」「痛い」というイメージを持っていることでしょう。
もちろん、前述の通り痛みはありますが、近年は細くキレの良い針が開発されているため、以前より刺すときの痛みは遥かに軽減されています。
さらに、浸潤麻酔法は非常に効き目の強い麻酔であり、治療中に痛みを感じることもほとんどありません。
伝達麻酔法
虫歯治療の際、少し麻酔が効きにくい箇所に施す方法を“伝達麻酔法”といいます。
具体的には、奥歯に施されることが多く、脳から出た神経が下顎に向かう途中に麻酔薬を作用させることで、長い間広範囲に効果を行き渡らせることができます。
しかし、伝達麻酔法は効き目が強い反面、治療後効果が切れるまでの時間も長くなってしまいます。
一般的には4~6時間、場合によっては半日程度効果が持続することもあり、その間は火傷や口内を噛むリスクを軽減するため、食事を控えなければいけません。
吸入鎮静法
吸入鎮静法は、鼻から専用のガスと高濃度の酸素を混合した気体を吸入する鎮静法です。
ガスを吸い始めると数分でお酒を飲んでほろ酔いになったような、心地良く身体がポカポカとしたリラックス状態になります。
痛みを完全に消し去る効果はないため、基本的には注射による局所麻酔と併用して行われます。
虫歯治療に対して強い恐怖心や不安を抱く歯科恐怖症の方や、器具が口に入るとオエッとなる嘔吐反射が強い方に非常に有効です。
吸入を止めればガスは速やかに体外へ排出されるため、治療後は短時間で意識がはっきりとし、特別な制限なくそのまま歩いて帰宅できます。
副作用や体への負担が非常に少ない安全な鎮静方法です。
静脈内鎮静法
静脈内鎮静法は、腕の静脈から点滴で鎮静薬を注入し、深いリラックス状態をつくり出す方法です。
完全に意識を失う全身麻酔とは異なり、うとうとと眠っているような状態になります。
呼びかけられれば応じることはできますが、不安や恐怖心はほぼ皆無になり、時間の経過も非常に早く感じられます。
また治療中の記憶がほとんど残らない健忘効果があるため、精神的な負担を大きく軽減できます。
重度の歯科恐怖症の方や、インプラント手術、親知らずの同時抜歯など大きな処置でよく活用されます。
治療中は血圧や呼吸状態をモニターで厳密に管理する必要があり、麻酔の効きが切れるまで院内でしばらく安静にする必要があります。
当日の車や自転車の運転は禁止されます。
全身麻酔法
全身麻酔法は、薬を吸入または静脈から投与し、患者さんの意識を完全に失わせる方法です。
歯科治療に対する恐怖心が極限に強い方、自閉症や知的障害などがあり歯科治療への協力がどうしても難しい方、あるいは大規模な口腔外科手術が必要な場合などに適応されます。
治療中は痛みや音、恐怖を一切感じることはなく、目が覚めた時にはすべての処置が終了しています。
自発呼吸が弱まるため、人工呼吸器による管理が必要となり、麻酔科医の立ち会いのもとで厳密な全身管理が行われます。
また事前の術前検査や、治療後の経過観察のための入院が必要となるもっとも大がかりな麻酔法です。
電動制御麻酔法
電動制御麻酔法は、麻酔液を注入するシステム技術に焦点を当てたタイプです。
人間の手による注射では、どうしても指の力にムラが生じ、これが細胞を急激に圧迫して痛みの原因になります。
電動注射器を使用すると、コンピューター制御によって麻酔液が極めて一定かつ人間の手では不可能なほどスローな速度で自動注入されます。
これにより組織への刺激が最小限に抑えられ、注射時の痛みをほとんど感じないレベルまで軽減できます。
また、手動よりも細い針を安定して使用できるメリットもあります。
多くの歯科クリニックで導入されていて、“痛くない虫歯治療”を実現するための革新的なアプローチとして高く評価されています。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下の通りです。
・針を刺す痛みを軽減するため、歯茎に麻酔薬を塗布するのが“表面麻酔法”
・虫歯治療をする歯周辺の歯茎に対し、注射によって麻酔を施すのが“浸潤麻酔法”
・奥歯など、麻酔が効きにくい箇所に施すのが“伝達麻酔法”
・伝達麻酔法は効果が持続しやすい分、治療後に食事が摂れるまでの時間も長くなる
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!

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