「大人は虫歯になりにくい」「虫歯は子どもがなるもの」
このようなイメージを持っている方は、少なくないでしょう。
しかし、こちらは間違った考え方であり、実は高齢者の方ほど虫歯のリスクが高いと言われています。
今回は、なぜ高齢者の方が虫歯になりやすいのかについて解説しましょう。
エナメル質の減少
人の歯は、“エナメル質”という非常に硬い組織で覆われています。
平均2~3mmほどの厚さしかないものの、熱いものや冷たいものなど、歯にしみると感じさせるものが、刺激に敏感な内部に触れないように保護する役割を持っています。
しかし、エナメル質に生きた細胞は存在しないため、失われたものが再生されることはありません。
つまり、一度エナメル質が減少すると、常に虫歯になりやすい状態が続くというわけです。
高齢者の方は、脱灰や歯ぎしりなどの原因によって、通常よりもエナメル質が減っていることが多く、必然的に虫歯のリスクが高まってしまいます。
根面の露出
年齢を重ねるにつれて、人の身体は免疫力が低下します。
それに伴い、歯周病菌への抵抗力も下がり、歯周病を発症してしまうというケースも少なくありません。
そして、加齢に伴って歯周病を発症すると、歯茎が下に落ち、本来見えないはずの根元部分が露出します。
こちらの部分は、歯の表面などに比べて酸に弱く、なかなか虫歯菌を跳ね返せません。
つまり、高齢者の方は、歯の根面から一気に虫歯が進行する可能性があるということです。
唾液の減少
高齢者の方は、ストレスや薬剤の影響、咀嚼筋の衰えなどにより、唾液が減少します。
それに伴い、口や喉が渇きやすくなったり、食事や発音に支障をきたしたりすることもあります。
もちろん、唾液の減少が虫歯に与える影響もゼロではありません。
唾液は口内を洗浄してくれる役割を持っているため、減少すると必然的に汚れが残りやすく、虫歯のリスクは高まります。
ちなみに、加齢により著しく唾液の分泌量が減る症状を“ドライマウス”といいますが、こちらは虫歯だけでなく、他の感染症にかかるリスクも高めてしまいます。
例えば、カビの一種である“カンジダ菌”が増殖すると、口内に白い斑点が現れる可能性もあります。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・高齢者はエナメル質が減少していることが多く、虫歯のリスクも高い
・加齢に伴う歯周病により、歯茎が下がることで、根面の虫歯を発症しやすくなる
・年を重ねると唾液が減少し、口内の洗浄作用が不十分になることから、虫歯のリスクが高くなる
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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