「何気なく鏡を見てみると、いつの間にか前歯の間が黒くなっている…」
そのような経験したことがある方は、決して少なくないでしょう。
何を隠そう、前歯の裏や間は、特に虫歯になりやすい歯・箇所の1つとされているのです!
今回は、その理由について詳しく解説しましょう。
磨き残しが起こりやすい
前歯の裏もしくは間が虫歯になりやすい理由としては、まず“磨き残しが起こりやすい”ということが挙げられます。
一般的に前歯と聞くと、上下のもっとも中心にある2本の大きい歯(計4本)をイメージされる方も多いかもしれませんが、実際はそれだけではありません。
中心の2本と、その横の左右3本ずつ、計12本のことを前歯といいます。
中でも、特に虫歯になりやすいのは、上の前歯の裏側や間です。
前歯の裏側部分には、“舌側面窩(ぜっそくめんか)”というくぼみがあり、多くの方はこちらの部分の歯磨きが行き届いていません。
その結果、残った歯垢がジワジワと歯を侵食し、虫歯を作り出してしまうというわけですね。
唾液が少ない
前歯の裏や間の虫歯が発生しやすい理由としては、“唾液が少ない”ということも挙げられます。
口内には常に唾液があり、全体的に潤っているように感じますが、実際上の前歯は、下の前歯ほど潤っていません。
なぜなら、唾液は舌の裏や下唇あたりに溜まっているからです。
ちなみに、唾液には自浄効果や抗菌効果があり、歯についている歯垢を流してくれますが、行き届かない前歯の裏側は、必然的に虫歯のリスクが高くなってしまいます。
歯並びが悪いとより虫歯になりやすい
前歯だけに限ったことではありませんが、歯並びが悪いと前歯の裏はより虫歯になりやすいです。
例えば、前歯が隣の歯と重なったり、斜めにねじれて生えたりしていることがあります。
このようなケースでは、重なりや隙間がある部分にプラークが溜まりやすく、歯ブラシの毛先も届きません。
プラークの中には多くの虫歯菌が潜んでいるため、歯並びが悪いことは虫歯のリスクを高めると言えます。
また、前歯の裏側でもっとも磨きにくいのは八重歯です。
八重歯は形状が尖っている上に、外側に盛り上がるように生えています。
そのため、歯ブラシを縦にして小刻みに磨かなければ、なかなか内部のプラークは除去できません。
前歯が虫歯になるデメリット
前歯の間が虫歯になると、当然歯間が黒くなったり、歯の色が濁ってきたりします。
裏側で虫歯が発生し、表面まで色が回ってくることも珍しくありません。
よって、正面から見たときに、“不衛生”、“自己管理ができていない”といったマイナスなイメージを持たれる可能性があります。
もちろん、前歯の虫歯が進行すると、食べ物を噛み切る際にもっとも使用する歯がもろくなったり、最悪の場合失ったりすることも考えられます。
ちなみに、前歯がなくなると、噛み切る際に使うのは必然的に奥歯になり、今度は奥歯の虫歯のリスクが高まってしまいます。
前歯の裏は着色もつきやすい
前歯の裏は虫歯になりやすいだけでなく、着色もつきやすいです。
具体的には、磨き残した食べカスが貯まると、茶色く変色することがあります。
また、歯の裏側が茶色く変色している場合、歯の神経が死滅している可能性もあります。
歯の神経である歯髄が死滅すると、その部分から出血します。
こちらの出血により、血液中に含まれる鉄成分が歯髄の外の象牙質に侵入し、変色することで茶色く見えます。
歯髄が死滅する原因としては、虫歯や噛み合わせ、ぶつけたときの衝撃などが挙げられます。
ちなみに、歯にはエナメル質という部分がありますが、こちらは加齢によって摩耗し薄くなっていきます。
エナメル質自体は半透明ですが、薄くなることで中の象牙質が透けてしまい、歯が変色したように見えることもあります。
前歯の裏の虫歯を予防するには?
前歯の裏の虫歯を予防するには、まずしっかりと歯磨きを行うことが大切です。
食後には必ず歯磨きをして、食べカスやプラークを取り除きましょう。
また、一日の中でもっとも重要なのは、就寝前の歯磨きです。
夜間は唾液の分泌が減少し、虫歯菌が活動しやすくなるため、就寝前には特に丁寧に歯磨きを行いましょう。
ちなみに、前歯の裏の細かい部分については、歯ブラシだけで汚れを除去するのが難しいケースもあります。
そのため、歯間ブラシやデンタルフロスの併用をおすすめします。
前歯の虫歯治療について
前歯の虫歯治療では、一般的に被せ物やコンポレットレジンが採用されます。
被せ物は、虫歯の影響で歯を削る量が多い場合に用いられます。
コンポレットレジンは、セラミックと合成樹脂を混ぜた白いプラスチックで、前歯の虫歯となっている箇所を埋めて固めます。
また、上記は保険診療の治療法ですが、セラミックやダイレクトボンディングといった自由診療で対応することもあります。
セラミックはレジンと比べて劣化が少なく、審美性が高い素材です。
ダイレクトボンディングは、複数のレジンを活用し、自然な歯の色合いを再現する治療法です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・前歯の裏や間は磨き残しが起こりやすいため、虫歯がよく発生する
・前歯の裏側には、自浄効果や抗菌効果のある唾液が届きにくい
・前歯が虫歯になると、“不衛生”などのマイナスなイメージを持たれやすくなる
・虫歯が進行すると前歯を失い、食事が困難になる可能性もある
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
患者様のことを最優先に考えた、オーダーメイドの治療プログラムで対応させて頂きます。