虫歯を放置すると、歯痛におそわれるようになったり、口臭がひどくなったりするのは、周知の事実ですよね。
しかし、それだけではありません。
虫歯をそのままにしておくと、病気の発症に繋がることもあるのです。
具体的にどのような病気になってしまうのか、ここで解説しましょう。
ご興味のある方は是非ご覧ください。
歯根嚢胞
虫歯であるにもかかわらず、治療せずそのままにしていると、まずは口腔内の病気になるリスクが高まります。
その1つが“歯根嚢胞(しこんのうほう)”です。
初めて聞くという方もいるかもしれませんね。
これは、アゴの骨にある歯根にできる袋状のもので、ゆっくりと大きくなるため、自覚症状がなく、歯の治療などでX線治療を行った際に、偶然見つかることも珍しくありません。
歯根嚢胞が大きくなると、骨の膨らみが見られたり、ズキズキとした強い痛みにおそわれたりすることがあります。
歯根破折
虫歯を放置することで発症する口腔内の病気としては、“歯根破折(しこんはせつ)”も挙げられます。
これは、歯の根にヒビが入ったり、割れたりする症状を指しています。
虫歯の強度は、通常の歯に比べて決して高くありません。
よって、噛む力が少し強かったり、歯ぎしりをしてしまったりすることで、虫歯が割れてしまう可能性は十分にあります。
ちなみに、歯根破折が起こると、歯茎が腫れてブヨブヨになったり、“フィステル”という膿の出口のようなものができたりします。
もちろん、割れた歯がそのまま取れてしまう可能性もゼロではありません。
副鼻腔炎
虫歯の放置によって発症する病気には、“副鼻腔炎”も挙げられます。
鼻腔に隣接した骨内の空洞を“副鼻腔”といいますが、この内側を覆っている組織が炎症を起こすのが副鼻腔炎です。
これは、虫歯の放置によって副鼻腔に細菌が入り込むことで発症します。
顔面痛や頭痛、鼻づまりや鼻水、圧迫感など、さまざまな症状が出るのが副鼻腔炎の特徴で、風邪に似ているところも多いため、最初はなかなか気づかないかもしれません。
ちなみに、副鼻腔炎の場合、透明ではなく黄色く変色した鼻水が出るため、そこで判断できる可能性もあります。
肺炎
肺炎も、虫歯の放置によって発症する病気の一つです。
こちらは、主に誤嚥性肺炎を指しています。
お年寄りの方は、単なる風邪でも口内の細菌が運悪く肺に回ってしまうことにより、肺炎を引き起こすケースがあります。
中でも多いのが誤嚥性肺炎であり、こちらは虫歯菌をはじめとする細菌が食べたものや寝ているときの唾液と混ざり、気管から肺に入って起こる症状です。
ちなみに高齢者の方は虫歯の放置によって歯を失い、ものを噛む機会が減少することで、脳細胞の動きが鈍くなることも考えられます。
こういった状況は、アルツハイマー型認知症などのリスクを高める原因にもなります。
骨髄炎
虫歯の放置によって発症する病気としては、骨髄炎も挙げられます。
骨髄炎は骨が炎症を起こす病気で、虫歯を放置することで起こる骨髄炎は、顎に生じる顎骨骨髄炎というものです。
顎骨骨髄炎になると、発熱や倦怠感、歯のぐらつきや痛みといったさまざまな症状が現れます。
また、痛みから食べ物を食べることが困難になり、食欲不振に陥るなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。
ちなみに、顎骨骨髄炎は、下顎に発症しやすいです。
なぜなら、上顎よりも下顎の血流は悪く、骨髄に達した細菌が死滅しないからです。
敗血症
敗血症も、虫歯の放置によって引き起こされる可能性のある病気です。
敗血症は、血液に入った細菌のせいで中毒症状が起きたり、身体中の臓器にトラブルが起きたりする深刻な病気です。
通常、血の中は無菌状態であり、菌が入ってきても白血球が撃退してくれます。
しかし慢性的に血の中に菌が入り込む状態(菌血症)が続き、プラスして何らかの理由で身体の抵抗力が弱まったときには、敗血症になるおそれがあります。
また、菌血症や敗血症は、感染性心内膜炎を引き起こすリスクの1つとしても知られています。
感染性心内膜炎は、心臓の内側や弁を細菌が巣食い、心臓の動きが悪くなってしまう心臓疾患の一つです。
脳疾患
虫歯を放置することにより、脳静脈血栓症や脳炎といった脳疾患につながることもあります。
脳静脈血栓症は、虫歯菌が血流に乗って脳の静脈へと到達し、炎症を起こして血栓ができる病気です。
頭を刺すような強い痛みが特徴であり、場合によっては命に関わることもある危険な疾患です。
また、脳の内部に白血球が入り込み、炎症を起こすのが脳炎です。
脳炎の症状としては、頭痛だけでなく嘔吐や首の後ろの痛み、吐き気などが挙げられます。
症状が悪化すると、意識障害や突然痙攣などを引き起こすおそろしい病気です。
虫歯から脳疾患につながるケースは極めて少ないですが、虫歯を放置している方であれば、誰しもに発症のリスクがあることは覚えておきましょう。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・虫歯を放置するとできる歯根嚢胞は、強い傷みや骨の膨らみを伴う病気
・虫歯は脆いため、放置すると歯の根にヒビが入ったり、割れたりする可能性がある
・虫歯の放置により、副鼻腔に細菌が入り込むと、副鼻腔炎を発症するおそれがある
・鼻水が黄色く変色している場合、風邪ではなく副鼻腔炎になっている可能性が高い
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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